福井中小企業診断士協会

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嶺南の大規模農業を学ぶ例会を開催

2017-04-13

 福井県中小企業診断士協会では、農業分野での経営支援拡大と受託事業の開拓に向けて農業ビジネス研究会を設置し、関係機関への働きかけや具体的な支援事例の創出に取り組んできたが、 今回、同研究会の企画で、嶺南地域で取り組まれている大規模施設型農業の事例やメガファームへの取組みについて研修するとともに現地見学を行う例会を4月8日(土)にバスツアーで実施し、関係者を含め18名が参加しました。
 まず、福井市から現地に向かう社内では、(一社)若狭湾観光連盟の岸本 昇氏(JTBより出向)から、嶺南地区の観光活性化に向けた取組みについて紹介いただくとともに、 現在力を注いでいる教育旅行について説明をいただいた。
 特に、関東地区の中学校を対象に誘致活動を行っている教育旅行では、「地元の民宿に宿泊して定置網などを使った漁業体験を行う体験型のプランを強化し、最近では、鯛を釣って捌いて、刺身にしたり焼き物にしたりして食べるまでを体験するプラン、 更に海だけではなく、山や川も含めた若狭を感じてもらうために、炭焼きや川での投網などの体験も加え、若狭で2泊してもらう取組みを進めている」というお話であった。

(1)青ネギ生産法人「若狭こすもかんとりー」
 最初に訪問したのが、小浜市で平成27年度からスタートした大規模ビニールハウス14棟をつなげて青ネギ生産に取り組む(合同)若狭こすもかんとりーで、平成27年8月に設立し、現在3名の社員とパート1名で操業を行っている。
 まず、この連棟ハウス整備事業は、JA若狭が主導して、国の補助5割、福井県及び地元自治体の補助約4割を受けて施設を建設し、それを運営主体である若狭こすもかんとりーに年420万円のリース料で14年間賃貸する仕組みとなっていて、2億円以上かかるとみられる施設費用をJAが補助金を利用して建設して賃貸することで、新たに大規模農業に取組みたいという農業者にとっては資金面でも安定したスタートが切れる仕組みとなっている。
 この施設では、福井県内では生産が少なかった青ネギを、パレットを利用した水耕栽培で生産しており、種の植え付けから収穫までこのビニールハウスの中で全て行い、年間52tを目標に生産に取り組み、全量をJAに出荷している。
 生産した青ネギは、他の大規模農家から持ち寄った青ネギと一緒に、JAの選果場で調整包装が行われ、主に県内スーパーに「幸福(しあわせ)ネギ」の名称で出荷されていて、「将来は関西方面にも出荷拡大を考えている」というお話しでした。

(2)ミディトマト生産法人「ながの農園」
 2番目に訪問したのが、高浜町で「越のルビー」で有名になったミディトマト生産に取り組む(合同)ながの農園で、平成24年度に若狭地区の大規模エコ園芸施設の第一号として建設された施設です。
 こちらは大型のビニールハウス6棟がくっついて立っていて、中は作業や温度調整がしやすいように壁取り払われている。
 こちらの施設は、高浜町の3セク会社「いきいきタウン高浜」が福井県と高浜町の補助金を活用して施設を整備し、運営主体となる農業者を募集して、14年のリース形式で賃貸する形をとっている。
 年間60tの目標に対して現状では52tの生産で、また規格に合った製品は8割となっていて、規格外の2割も低価格でJAの直売所に出すなど、販売面では「JAが全量買い取りしてくれる契約となっているので安心して生産に力を注げる」と代表者は話す。「最初は、ジュースなどの加工品生産もしたいと考えていたが、他の施設で苦労している話も聞いて、生産に絞った」とも話している。
 生産で苦労しているのは温度管理で、センサーなどで暖房や湿度の調整はしているものの「急な天候の変化や温度の変化に植物は対応できないので、どうしても品質が落ちてしまうのが課題」とも話している。
 「フルタイムの従業員を採用したいが、現実にはそこまで収益が出せていないので、パートの皆さんに交代で勤務いただくことで、なんとか生産、出荷を回している」と本音を語ってくれた。

(3)メガファーム「若狭の恵」と若狭の大規模園芸施設の取組みと課題
 農家の見学の後、高浜町の民宿「むらみや」に会場を移し、当協会の前野会員より「メガファーム若狭の恵」の取組みについて紹介いただくとともに、嶺南振興局農業経営支援部の前川英範主任より「若狭管内の大規模園芸施設の状況と課題」について説明をいただきました。
 メガファーム「若狭の恵」は、①農業労働力の減少、②米価の下落、③耕作放棄地の拡大、④小規模農家の生産コスト上昇、などの諸課題に対応するため、小浜市宮川地区の6集落の農家が集まって、集団化、大規模化を目指す取組みを行ったもので、スタートから20年掛ってやっと実現にこぎつけたもの。「土地改良事業を含め、理事長の強力なリーダーシップが実現のカギで、若手の農業後継者が株式会社とした経営体を引っ張っていて販路開拓にも力を注いでいるので、将来に期待が持てる事業となっている」と紹介した。
 前川氏からは、「若狭地区では園芸作物の出荷が少なく、クールアース実証研究と電源立地のメリットを生かした大規模施設を活用したオールシーズン園芸の拠点産地を目指す取組みを進め、現在11の大規模施設がスタートしている」と県としての取組みの背景を含め現状について紹介いただきました。

 (峠岡伸行)

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