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10月例会(高岡日帰り視察)で「産業の観光化、伝統的工芸・地域産品の活かし方」を学ぶ

2018-10-25

 福井県中小企業診断士協会では、福井県内の各地域における観光を活用した地域活性化策について考える観光産業化研究会を立ち上げるなど、観光を切り口とした産業・地域づくりに向け、その支援する役割を担うべく活動を開始している。そして地方創生の観点からも、伝統的工芸や地域産品の活用・発信は不可欠である。
 そこで10月例会は県外の先進事例を学ぶため、伝統的工芸高岡銅器でも有名な富山県高岡市を13名で訪問した。

〈地域を愛し地域に愛される100年企業「株式会社 能作」〉
 株式会社能作は大正5年(1916年)高岡に400年伝わる鋳造技術を用いて仏具製造を開始、近年は先人の技法を承継しながら新たな鋳造方法・技術・分野・商品等に挑戦しその魅力を今に伝え続けている企業である。
 はじめに能作千春専務取締役より「能作と産業観光」についてご講演頂いた。まず現社長(4代目)が奮起する一つのきっかけとなった工場見学での親子の話から、現社長入社当初7名だった職人が現在は60名超、従業員150名超となるまでのストーリーをお伺いした。高岡銅器の流通は分業であり、メーカー(生地屋)である同社では商品開発・販路開拓が困難であったとの事。しかし、その状況を打破すべく、自社製品を開発、新たな素材・デザインに挑戦、新分野(医療介護)への進出、海外展開と果敢にチャレンジし続けている。次に産業観光への取り組みについてのお話があった。本社移転から、産業観光部の設立、会社見学の充実(体験施設等)など具体的に実践しておられ、現在月1万人を超える来館者があるとの事で非常に参考になった。
 その後、工場で鋳造の作業工程を解説付きで見学させて頂いた。鋳物づくりの現場のにおいや温度など、空気感を肌で感じることができた。職人のモチベーションアップや5S意識付け等の副次効果もあったとのことだった。
 産業観光に取り組む目的として、『地域を代表する会社となり、産業観光に注力し地方創生』『県内観光のハブ的な役割を果たす』『産業観光に取り組む企業が今後増えるよう轍をつける』『地元の子供達に地域の素晴らしさを知ってもらい、地域と日本を愛する子供達を増やしたい』と挙げられていた。特に最後の子供への取り組みは技術継承にも貢献しており、幼少期の工場見学で「職人」に関心を持った女性が、学校卒業後、入社したとの事で、素晴らしい取り組みだと感動を覚えた。

〈富山湾鮨提供店「栄寿し」〉
 富山県といえば富山湾で獲れる新鮮な海の幸という事で、昼食には「富山湾鮨」を提供している「栄寿し」へ。「富山湾鮨」とは、とやま観光推進機構・富山県鮨商生活衛生同業組合が推進し50店超で提供しているお寿司セットである。特徴として、1セット10貫・値段は定価で2,000円~3,500円(税別)、ネタの全てが富山湾の新鮮な海の幸、シャリは米どころ富山県が誇るおいしい県産米、富山らしい汁物付き、お客様には提供するネタの説明があるというルールがある。単独で提供するよりも集客効果がありブランドイメージもつきやすい。強みである特徴を更にアピールしていけば付加価値に対する満足度も高まっていくと感じながら、あっという間に美味しくいただいた。

〈高岡鋳物発祥の地「金屋町」と「高岡市鋳物資料館」〉
 高岡でも最も古い町で、400年前、加賀藩主前田利長が開町まもない城下町高岡の繁栄策として、鋳物造りを奨励したことから大いに栄えた、高岡鋳物発祥の地である「金屋町」。格子造りの家々が軒を並べ、風情ある町並みは、映画やテレビCMでも登場している。
 そんな金屋町にある「高岡市鋳物資料館」では国指定伝統的工芸品である高岡銅器をはじめとした高岡鋳物の歴史と伝統をご案内頂いた。鋳物は分業制であり、完成までには工程毎に専門化され各工程で職人がいる。課題としては後継者が少ないとの話があった。こういう話を聞くとやはり前述の(株)能作の取り組みは伝統産業を守る意味でも素晴らしいと再認識した。
 また「金屋町」には鋳物の製作体験ができる工房や錫アクセサリー作りが体験できるお店もあり、高岡の伝統工芸を直に味わうことができる。今回は時間の都合上体験できなかったが、街歩き型の観光地として参考になった。

〈国宝「瑞龍寺」と住職の境内案内〉
 10月例会最後は富山県で唯一、国宝に指定されている曹洞宗の寺院である「瑞龍寺」に。先述前田利長の菩提寺であり、江戸初期の禅宗寺院建築として高く評価されている。
 瑞龍寺の佇まいと併せて素晴らしかったのが、住職の境内案内だった。突然の訪問にも関わらず、同行しながら詳細に境内をご案内頂いた。その際のお話(話し方含め)が、私達の地元福井・中小企業診断士に関する事などを巧みに絡めて、人を惹き付けるものであった。こちらの出身や服装、人数などをさりげなくチェックし発信するアンテナの高さは感動するものであった。

 今回例会では非常に多くの学びがあったが、一番は「地域愛」である。地域活性化への純粋な想いが大きな流れを生み出すと実感し、また、今後の活動に活かしていきたいと強く感じた。

(定友 輝)

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(株)能作 鋳造原型が飾られた
エントランス

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能作千春専務取締役より ご講演

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富山湾鮨(提供店:栄寿し)

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高岡市鋳物資料館と金屋町街並み

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国宝 高岡山瑞龍寺

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住職の境内案内

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