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3月敦賀例会で「新幹線終着駅の視点から観光振興について検討する」

2019-03-22

 3月16日(土)降雪予報の中、協会員15名が午前10時過ぎに、敦賀駅隣のオルパークに集結し、3月敦賀例会がスタートした。今回は、嶺南部会メンバー4名が企画・運営を主導し、敦賀市内の主要観光施設をバス・徒歩中心に巡り、会員診断士から提言を募るという企画である。

<人道の港 敦賀ムゼウム>
 周遊バスに10分ほど揺られ、まず訪問したのが、ムゼウム(ポーランド語で資料館を意味する)。約15分のビデオ放映と学芸員の説明を通じて、第二次世界大戦中ナチスにより迫害されたユダヤ人(大半がポーランドから)の命を救うため、外務省本省の意向を無視して、杉原千畝が自分の意志で“命のビザ”を発給し、多くのユダヤ人が敦賀を通じて平穏の地、日本に入国することができた状況を鮮明にイメージできた。イスラエル等から年間600名程の視察者が来訪する等、史実を伝える貴重な施設となっている。

<金崎宮>
 徒歩で階段を上り、社務所にて田村宮司にお話を伺った。気比神宮より相対的に認知度が低いものの、社殿を預かる者として、いかにして、花換まつり、御船遊管弦祭、織田信長に由来する難関突破守等を通じて、参拝者に向けた広報を展開してきたかを熱く語り、その姿や気迫は、まさに経営者そのものと感じた。敦賀の観光資源について、へしこや越前ガニは「贈答品として送るだけではだめで、食べ方や心構えも伝えなくては宝の持ち腐れ」と語り、体験を通じて文化への理解を高めることが、心の豊かさにつながり、引いては地域観光振興になるとのことだった。

<赤レンガ倉庫>
 国の有形文化財に登録されている赤レンガ倉庫は、1905年に建てられた元石油倉庫だ。イタリアンレストランソニョーポリで昼食。我々以外は女性客が中心で、県外ナンバーの乗用車も目立っていた。新鮮な魚介類に若狭牛等、地元食材を目当てに訪れる観光客も多いという。その後、隣のジオラマ館へ。横27m奥行7.5mの広さに、鉄道と港の「ノスタルジオラマ」を展開しており、会員の“鉄っちゃん”がD51やスイッチバック等について興奮を抑えきれない様子で見とれていた。ジオラマ内に隠れた高さ3cm程のキャラクターをカメラで撮影すると記念品がもらえるミニイベントも開催し、訪問客を魅了していた。

<鉄道資料館>
 徒歩で移動し、旧敦賀港駅舎を再現した鉄道資料館へ。新橋(東京)から敦賀まで直通列車が走り、敦賀港から連絡船でウラジオストク(ロシア)、そこからシベリア鉄道でパリまで続く欧亜国際連絡列車の重要拠点だったのだ。新橋からパリまでひと続きの時刻表や切符が展示され、浪漫を感じずにはいられなかった。明治から昭和初期にかけて、鉄道員・船員・貿易商人が集結し、日本でも有数の港町となり、隆盛を極めたという。ボランティアスタッフが、タブレット閉塞機等、見慣れない機械等を説明し、理解を深めることができた。

<敦賀市立博物館(旧大和田銀行本店)>
 学芸員の解説とともに館内を巡った。国立の“お侍銀行”に対して、民間資本による“丁稚銀行”と呼ばれ市民から親しまれた大和田銀行カウンター、市民にも開かれた地下食堂跡、荘厳さ漂う2階貴賓室、当時は畳張りで市民も利用した3階公会堂等、92年前に竣工し戦災を免れた洋風建築物だけあって、復元された内装も含め見どころ満載だった。創設者の大和田荘七氏の市民に寄り添う思想が随所に反映され、商業の街、敦賀の産業を金融面で力強く支えていたことも伝わってきた。所蔵の美術資料を順次公開(訪問時のテーマは「花咲く春」)し、敦賀の美術文化に触れることもできる。

<商店街店主ヒアリング>
 気比神宮界隈の3店舗を訪問し、若手商店主よりお話を伺った。「きもの庵なご」(呉服店)では、30代で事業承継した際の苦悩や店舗リニューアルの狙い、独自の新規顧客獲得方法、まちゼミや着物市場の動向をお聞きした。「小堀日之出堂」(菓子店)では、ガラス張りの工房と休憩スペースにて、気比神宮にちなんだ気比団子、昔ながらの陶器に入れ流水で冷やす水仙まんじゅう等、商品開発の狙いやこだわりを教えていただいた。「中道源蔵茶舗」(日本茶カフェ)では、日本茶の販売だけでなくアイス等の喫茶業態にも挑戦した背景や、個包装等の販売促進策の工夫、さらには、女性店主ならではの視点を生かし、商店街の活性化への意気込みも聞くことができた。食べ歩きしつつお土産も購入し、大満足で各店を後にした。

<夕食懇親会>
 朝からの累計歩数は13,000歩を超えていた。観光施設やお土産、感想等について、20分程でアンケートを記載し、小料理登喜輪で、疲れた体を癒すかのごとく夕食懇親会が始まった。てっさ、てっちり等に舌鼓を打ちつつ、アンケートに記載しきれなかった提言や想いを語り合い、3月敦賀例会は幕を閉じた。

 2023年春に北陸新幹線敦賀延伸を控える中、敦賀各所を訪問し、強く感じたことは、各施設で説明や想いを語った「人」の魅力が、何よりの観光資源であるということ。見るだけではなく、聞き・感動し・質問し・新たな情報を得られるのは、双方向でのやりとりが成せる業。別途、嶺南部会メンバーにより、集約される予定となっているアンケート結果にも期待したい。

(上條辰徳)

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金崎宮から一望できる敦賀の街並み

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金崎宮田村宮司による講話

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洋風近代建築である市立博物館

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中道源蔵茶舗:右女性が中道店長

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