福井中小企業診断士協会

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令和1年度理論政策更新研修の開催

2019-10-29

 令和1年度の理論政策更新研修は、令和1年9月7日(土)9:00 ~13:00に、福井県産業情報センタービルマルチホールにて、106名の受講者のもと開催された。

【研修内容】
1.「福井県の中小企業振興施策について」
 福井県産業労働部副部長 小浦克之氏
…小浦克之副部長より、福井県の中小企業振興施策が紹介された。2019年3月に「福井県経済新戦略」が策定されたが、特に、「ものづくり革命」、「オープンイノベーション」、「観光の産業化」、「企業価値・製品価値を高めるブランディング」、「人材確保・育成」などの戦略の概要を強調された。県内製造業の特徴としては、最終製品と比べ、部品・中間財の生産が多く、何を造っているかという消費者の認知度が低い。テクノポートふくいに進出した企業が学生の新規採用をするにも、学生の企業に対する認知度は極めて低く、新卒採用に苦労しているなどの例をあげ、ブランディングの必要性を指摘した。また、IoT・AIの普及促進事業については、AI・ビジネスオープンラボの開設や、IoT・AI・ロボット等導入促進事業補助金・IoT専門家派遣事業の紹介がなされた。

2.「中小企業のIT利活用支援」
事例①「残業時間低減事例に学ぶRPA」
 株式会社イープラス システム運用グループ データマーケティングチームリーダー 辰巳優介氏
…辰巳優介チームリーダーから、我々中小企業診断士にとってはなじみの薄いRPA(Robotic Process Automation)についての初歩からの分かりやすい解説を受けた。RPAとは、ロボットによる業務自動化であるが、ハードの産業用ロボットとは異なり、PC上で動作するソフトウェアロボットのこと。特に最近注目されるようになった背景には「働き方改革」などで従業員に残業をさせられなくなったことなどが大きい。10の作業があっても、すべてをRPAでやる必要はない。1つの作業でも良い。小さく進めて、試行錯誤を素早く繰り返すことで、年間6,500時間の削減ができたなどの事例が紹介された。導入に当たってはRPAに向いている作業と、向いていない作業があり、ルールと手順が決まっている定型作業・大量の作業・反復する作業・繁閑の差が大きい作業などが向いている業務であり、例えば、今年度の巨人の野球の64試合全てのチケットの販売をRPAでこなしたという。2月にはチケットを発売するため、3か月間で入力スタッフが大量の反復作業を行っていたものをRPAしたので、その入力スタッフの人件費3,000千円を節減できたという。また、開始・終了について時間的制約のある業務にも適しており、従業員が帰った後の夜8時から業務にかかるものとか、早朝に行う業務などがある。逆に向いていない業務としては、情報に曖昧さがあり、それを人がカバーしているとか、例外が多く、どこかで人の判断を要する業務、エンドユーザーに直接的な影響のある業務など、見極めが必要などと具体的な説明であった。

事例②「伊勢の老舗食堂“ゑびや”が先端テクノロジ提供企業『EBILAB』へ変貌」
 株式会社EBILAB 最高戦略責任者 常盤木龍治氏
…わざわざ沖縄からお越しいただいた常盤木龍治最高戦略責任者からは、150年間伊勢という観光地で飲食店として商売をしてきた「ゑびや」という老舗食堂が、いかにEBILABというシステム部門を分社化するまでになったかを熱く語ってもらった。
6年前の2012年、小田島春樹社長が経営を引き継ぐまでの「ゑびや」はそろばんと手切りの食券・ディスプレイケースには陽に焼けた食品サンプルが飾ってある時代に取り残された食堂であった。その食堂に、食券とそろばんに代わりExcelを、そしてExcelでデータベースを作成し、さらに機械学習による来客予想に着手、画像解析AIデータ収集・RPAの導入などにより再建していった。機械学習による来客予測で飲食店のオペレーションをデザインし、来客予測的中率は99%にもなった。予測が可能になれば、米の炊飯量も分かる。米の廃棄は1日8升から2升になり、廃棄ロスは1/4に減った。また、メニュー提供の最速化が図られ、全メニューを10分で提供できるようになった。さらには、店頭訴求の効果検証を行い、入店客の人数をさらに性別・表情・年齢に分解し、店舗デザインの変更を行い、客単価を3倍に、売上高を2012年1億円から、2018年には4.8億円へと伸ばした。結果、1人当たりの年間売上高は396万円から1200万円にまでになった。当然ながら従業員の待遇もアルバイト時給800円から950円~1350円+社員旅行付きまでに改善させることができた。2018年からこの来客予測システムの外販を行っている。このシステムは小さな飲食店でも簡単に扱えるようなものであり、講師の信念は「システムインテグレーター」という言葉が無くなることであると強調する。

事例③「『ものづくり』から『ことづくり』への挑戦」
 株式会社下村漆器店 代表取締役社長 下村昭夫氏
…下村昭夫社長からはIH自動加熱調理システムの開発について、今日に至るまでの「ものづくり」から「ことづくり」への転換の話をいただいた。食器を使用するユーザーの中では、1990年代から大規模病院や福祉施設・旅館などは人件費の削減や食中毒防止などの課題を抱えており、過熱調理した食材を一旦チルド保存し、食器に盛り付け再加熱することで課題解決を図ったが、下村漆器店は福井大学などと連携してIH対応の超耐久性食器を開発し、福井大学病院や県立病院などにシステムが採用された。当時、医療には適時適温特別管理加算制度があり、高価な機器・高価な食器であっても大量に売れることとなった。しかし、2006年には加算制度は廃止されてしまい、途端に行き詰ることとなる。そこで、個別食器に事前に生食材を盛り付け、トレーごと冷蔵庫に保管し、必要な時間にタイマーで自動加熱調理するカートクックシステムを開発することになる。しかし、当初はメニューが数種類しかない。それでは全く売れないので、元栄養士会の副会長や衛生監視員、食材加工会社や給食運営経験者などの協力を得て朝昼晩1か月の献立メニューなどを開発し、誰でもできるように、オペレーションマニュアルや献立ごとの過熱プログラム設定なども開発するという、「新しいビジネス」への挑戦が報告された。また、終了後、試食も行ったがどれも美味しいものであった。

【受講者アンケートより】
 平成21年度より9月開催、午前中開催にし、11年目となりましたが、95%以上の方が開催時期、時間共に「適当である」との回答がありました。
 また、会場についてはは89%の方から「適当である」旨の回答がありました。
 講師:講義内容については、各講義で多少ばらつきはあるものの、概ね5割~9割の方から「大変良い」「良い」の高評価を受けました。特に常盤木隆治氏の講義については95%の方から非常に高い評価を受けました。
 研修に関する希望・要望のフリーアンサーの中においても、「講師の選択、大変良かった」、「どの科目もデジタル活用を今後具体的に実践するにあたって非常に参考になりました」、県外からの受講者からは「福井県協会さんの企画は興味深いです」と高評価を頂きました。また「倉庫・運送業」や「働き方改革」・「ブランディング」・「外国人労働者の雇用」・「M&A」などの研修テーマの要望もありました。頂いた意見を参考に、今後も充実した研修となるよう、改善していきたいと思います。

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