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10月例会(福井県越前市周辺体験視察)で「伝統的工芸・地域産品」を体験・再発見

2019-10-29

 福井県中小企業診断士協会では、福井県内の各地域における観光を活用した地域活性化策について考える観光産業化研究会を起ち上げるなど、産業・地域づくりに向け、その支援する役割を担うべく活動を開始している。そして、地方創生の観点からも、伝統的工芸や地域産品の活用・発信は不可欠である。
 そこで10月5日(土)開催の例会では、まずは自分たちが福井県内の伝統的工芸や地域産品を再発見すべきと考え、それらを体験する事で新たな気づきを得るべく、伝統的工芸が近接している福井県丹南地区を10名で訪問した。また、今回は会員ご家族の参加も頂き、非常に充実した内容となった。

<越前焼:越前焼の館>
 国指定ふくいの伝統工芸品7つのうちの1つ。発祥は約850年前、平安時代末期であると考えられている。高温焼成で茶褐色に焼き締まった『越前焼』は硬くて丈夫なことから、北前船によって全国に広がり、北陸最大の窯業産地として発展、日本六古窯に数えられる。

 はじめに、越前焼工業協同組合 橋本事務局長にご案内いただき「登り窯(越南窯)」を見学した。燃料(薪)の不足に苦しんだ窯元が苦心して完成した窯を、加藤唐九郎氏により再現したものとのこと。1回の焼成に1000束もの薪を使用し、2~3昼夜焚き続け、約1300度で焼き上げることで、自動機械では出せない、薪の灰の自然な柄の味わいのある作品が生まれるとのお話だった。ただ、10個に1個しか製品としては出せない(割れたりなどして)など効率が悪く、また越前焼全体に関して、その伝統技術を継ぐヒトも減少しており、課題が多いとのことである。やはりいかに魅力を発信するかが大切であると再認識した。
 その後、『越前焼の館』にて、電動ろくろ体験と越前焼でコーヒーを頂くグループ 二手に分かれ各々体験に入った。電動ろくろ体験では、始めはなかなか思うように整形できず苦労したものの、吉田代表理事自らがご指南頂き、初心者が多い参加者に何度も丁寧にフォローして頂いたおかげで、一つ一つ味のある作品を作ることができた。
 また、越前焼職人とバリスタが作ったドリッパーセットで、山内氏の教えを乞いながら自ら淹れたコーヒーは日頃の疲れを癒す格別なものであった。

<越前そば:越前そばの里>
 福井での蕎麦の歴史は、一乗谷遺跡で有名な朝倉氏が栽培を奨励して広めたのが最初であり、西暦1470年くらいから始まっていると伝えられている。異常気象災害に伴う飢饉や戦時のための非常食として、米と違う短期間で収穫できる蕎麦の栽培を奨励したといわれており、長い歴史を誇っている。

 その様な歴史も含め、昼食も体験ということで、福井を代表する食の名物『越前そば』を打つ事ができる『越前そばの里』へ。モニターで作り方を見ながら、スタッフの方に作り方のコツを教えて頂いた。
 まずそば粉を水で溶かしてよく練るところから始まり、打ち粉を振って、麺棒で生地を薄く伸ばしていく。この時に均等な薄さになるように注意し、だんだん四角い形にしていくのがポイントとの事だったが、丸くなったり、途中で破れてしまったりと思い通りにならず四苦八苦であった。それから生地をたたみ端から細く切っていく。そば専用の大きい四角い包丁を使用するので、均等に切っていくのは初心者には非常に至難の業であった。一本一本太さが違う(中にはうどんかと思う程の太いモノまで)お蕎麦だったが、自ら打った蕎麦だけに味は特別なものであった。

<越前打刃物:タケフナイフビレッジ>
 国指定ふくいの伝統工芸品7つのうちの1つ。『越前打刃物』は、1337年(南北朝時代)京都の刀匠が現在の福井県越前市に刀剣制作の水を求め、その傍ら近隣の農民の為に鎌を作ったことから始まったと言われている。現在は、日本古来の火造り鍛造技術、手仕上げを守りながら、包丁・鎌・刈込鋏などを主に製造している。近年は海外のプロの料理人からも絶賛されている包丁など、高品質の製品を供給し続けている。

 そういった技術を学ぶべく、『タケフナイフビレッジ』へ。越前打刃物の共同工房であり、円筒形の建物の中に入ると、奥からカンカンカンと金属音が響いていた。その音に吸い寄せられ見学通路へ入ると、鋼を鍛錬する力強い音や熱気をまさに肌で感じることができた。
 その後、熱気を残しながらペーパーナイフの製作ができる体験棟に移動。銅板をハンマーでたたき、自分のイメージした形に切り出し、ヤスリで仕上げるという比較的手軽な体験で、小学4年生からできると聞いていたので、気軽な気持ちで作業にかかった。ところが、やり始めると銅板が曲がったり、ヤスリで思うように仕上がらなかったりと、各々銅板との格闘が始まった。そんな時はスタッフの若手職人2名に助けてもらいながら、最後にはオリジナルのペーパーナイフに刻印でき、一様に満面の笑みを浮かべていた。

<越前和紙:パピルス館・岡太神社/大瀧神社>
 国指定ふくいの伝統工芸品7つのうちの1つ。1500年前美しい姫によって紙漉きの技術を伝えられたとされる『越前和紙』。以来、幕府や領主の保護を受け発展し、全国有数の産地となる。『越前和紙』の特徴は、コウゾやミツマタなどの植物原料や流し漉き・溜め漉きなどの技法により作られる、ぬくもりある優雅な肌合いと風格にある。明治元年には日本最初のお札用紙に採用、美術面でも横山大観やピカソなの芸術家からも熱烈に支持された。近年は壁紙のほか、インテリア用品としても用途が拡がっている。

 深い歴史と伝統的な技法に、自分たちにできるのか少し不安を覚えながら、紙漉き体験ができる『パピルス館』へ。到着するなり不安を掻き消す様に、にこやかな指導員の方が案内してくれた。
 まず桁と呼ばれる道具に原料をくみ、均一になる様に漉く。流し漉きという技法を応用しているとの事だが、やはり簡単には均一にならない。すぐに指導員の方に補助して頂き助けて頂いた。その後、押し花や染料で好みの柄をデザインし、感想させて完成。30分程度で世界にひとつだけのオリジナル和紙を作ることができた。
 最後に、紙漉きの技術を伝えたお姫様(日本で唯一の紙の神様 川上御前)をお祀りしている『岡太神社/大瀧神社』へ立ち寄った。国の重要文化財に指定された社殿は、まるで幾重もの波が寄せあっているかのような屋根であり、また至る所に施されている彫刻に目を奪われた。偶然にもボランティアガイドの方のお話も頂戴でき、更に歴史を感じることができた。

 上記の伝統的工芸・地域産品を一日で体験して回れる福井県丹南地区は半径10キロ以内に5つの国指定伝統工芸が近接している、全国でも稀な地域である。その様な特性を活かし、産地・行政・各種団体が連携して更にブランド力を高めていく必要があると再認識した。また、それぞれに長い歴史があり、現在も多くの職人たちが受け継いだ技を忠実に守り、更に新しいものを取り入れ全国や海外に発信したりと進化させている。これからの福井の観光の魅力を高めていくために、歴史と文化を体験できる施設やプログラムの整備とそれを支える仕組みが重要であると感じた。
 その中心に我々中小企業診断士が存在すべく、考動していきたいと感じた10月例会であった。

(定友 輝)

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橋本事務局長による登り窯の説明

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吉田代表理事自ら”ろくろ”手ほどき

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『越前そば』そば打ち体験

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『越前打刃物』ペーパーナイフ製作

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『越前和紙』紙漉き体験

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紙の神 岡太神社/大瀧神社

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