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黒川温泉の魅力と努力

2012-05-02

 阿蘇山をまわってバスの中でうつらうつらし、ふと、幾つかの家が見え出したと思ったら黒川温泉だった。まず目にしたのは、山と川。渓流近くの宿にチェックインし静かな部屋に入ると窓の景色も山と川。紅葉がさぞ綺麗だろうと思うが9月中旬では無理。

 入湯手形なる直径10cm弱、厚さ1cm程の木を輪切りにしたものをもらった。それには「黒川温泉入湯手形25周年露天めぐり」と、書いてあり、裏には下のほうにシールが3枚張ってある。外湯に行った時は、この手形を持って裏にその旅館の屋号を押してもらい、その時、その旅館で1軒毎に1枚のシールを外し、中に当選番号があれば何か当たるらしい。1つの手形で3軒分だったが、こうやって外湯を楽しみ、もしかしたら別に何か当たるかもしれないと思わせるのは心憎いと思いながら、自分は当たるような気持ちになってうれしかった。

 その手形を持って外に出る。もうすでに多くの人が浴衣姿で歩いている。多くといっても行列でも団体でもない。三々五々だ。丁度いい。若いカップルもいれば、男同士も、それに、若い女性づれが多かった。人気スポットになるとこうなるのかと、福井県民である私は芦原温泉を背負ったような気持ちでうらやましくなる。

 前日の夜、熊本の人との会合があり、黒川温泉で入るべき旅館の温泉を聞いていたので、まず、その旅館に向った。岩風呂とかで1面は入口、2面は岩、1面は川べりであった。湯加減も良くのんびり入れた。次には、何か由緒がありそうな雰囲気のある建物の旅館に入った。

 そこも露天風呂があり、設備は大きいものでなかったがくつろげた。街には樹木が連なるが、資料によると樹木は計算されて人工的に植えられているらしい。歩いていて全くそんな感じは受けなかった。

 以前、各地に地場産業があった。多くの人がその産業で働き、新年会、忘年会など、何かの機会を作って近くの温泉へ行き気勢を上げた。我々も仕事の合間に芦原温泉に行くのを夢とした。その芦原温泉は客数がだんだん減り今では80万人台とか。しかし、地場産業の衰退から見るとまだ健在だ。

 今、朝倉氏遺跡が熱い。地元の者にとってはいつの間に何が起きているんだろうという露天風呂めぐり25周年を記念した入湯手形温泉街を湯めぐりする女性グループ和風旅館の建物と景観がマッチ感じだが、その中で、朝倉氏遺跡の歌い文句が面白い。「京都にもない金沢にもない何もない」。芦原も、山もなし、川もなし、何もなしか。しかし、これまでの伝統と知名度を考えると、かつては黒川温泉を凌いだであろうし、あの大きな設備が誇らしく見えたものだ。

 折しも黒川温泉から帰った10日目の新聞に、大江戸温泉が芦原に進出という記事が載っていた。十分考えられる選択肢と思う。しかし、全てが大江戸温泉になることはない。黒川温泉みたいに街全体の一体感を理想にしながら、当面は個々の旅館で、中には他の旅館と連携しながら、それぞれの客層を絞り込むことになるのではないだろうか。

 これまでの伝統、知名度、設備の大きさ、県内で唯一の温泉街、地域の観光地との係わり等を踏まえ、黒川温泉とは異なる体質の中でどう優位性を認識し、行動するかだと思う。

 黒川温泉は山や川の自然と、静かなたたずまいの宿とその街と、行き交う人の和やかな顔で癒された。でも、そこに至るまでは通行手形に書いてある25周年だ。我々としては黒川温泉の今を造った長い過程と、その中で行われたであろう多くの改善と新しい仕組み作りに思いを注がねばならないようだ。(早見光弘)

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露天風呂めぐり25 周年を記念した
入湯手形

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温泉街を湯めぐりする女性グループ

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和風旅館の建物と景観がマッチ

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