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放射能はなぜこわい

2012-12-07

 柳澤桂子氏(遺伝学者)のこの本では、遺伝子に及ぼす放射線の影響と恐ろしさが綴られている。ただ、放射線が遺伝子に何らかの影響を及ぼすことは、誰もが知っている。問題は、その程度である。
 まず自然界にあるいろんな毒物(膨大な種類の細菌や新旧ウイルス、生野菜など食物にもともと含まれているもの・・など)、そして、これまで人類が生み出してきたもの(ダイオキシンをはじめとした環境ホルモン、PCB、有機水銀、自動車の排気ガス、アスベスト・・などなど)に比べ、どのくらいの放射線量がどの程度人体影響に加算されるかが、問題なのである。このことを議論しなければ、全く意味がない。世の中のすべての物質は、人体に何らかの影響を与えているからである。この著書には、そのことが何も書かれていない。放射線の恐怖を煽る他の著作も、同じである。
 私がこれまで調べた限り、年間100㎜SV程度(現在の強制避難区域の2倍)の放射線であれば、将来がんになる確率の増加は、ほとんど誤差の範囲である。成人の場合は寿命が延びるとしても、小さい子供の場合は、もしかしたら少し高くなるかもしれない。それでもがんになる確率の増加は、たとえば毎日チョコレート一切れを、余分に食べた分ぐらいである。あるいは、毎日深呼吸を1回余計にして、活性酸素を余分に取り入れたぐらいかもしれない(活性酸素が遺伝子に影響を及ぼす可能性は、年間100㎜SV放射線の100倍以上あると言われている)。
 それぐらいなら、自動車排気ガスの多い都会に住んでいる人や、毎年黄砂を浴びている地域のほうが、100倍以上問題である。スギ花粉も、死亡率との因果関係が発表されれば、大問題になるはずだ(私は放射線より、スギ花粉のほうがはるかに怖い)。携帯電話(脳腫瘍の原因とされる)やTV、オール電化製品、あらゆる食物や飲み物、不快な住人、送電線の近くに住んでいる人も同じである。
 そうなると、何とか放射線の恐怖を煽ろうとして、「人工放射線の場合、今影響がなくとも20~30年後にがんになる確率が、何パーセント高くなる」と言う人がいる。裏返せば、現時点でほとんど影響がないからだ。苦し紛れに言っているのに違いない。人が将来不安を言いたてるときは、眉に唾をつけて聞かねばならない。
(佐治眞悟)

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