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ジャカルタ訪問レポート(インドネシア経済と課題)

2013-03-01

 福井県中小企業診断士協会では、海外視察研修事業を実施し、平成25年2月21日~23日まで、インドネシア共和国の首都ジャカルタ市を中心に、日系企業やショッピングセンター、観光施設などを訪問いたしました。
 そこで、その視察の中から感じたことをご紹介させていただきます。

【インドネシアの概要】(JETRO資料より抜粋)
人 口: 2億4,103万人(世界4位、ASEAN全体の4割を占める)ジャワ島に6割が集中
国 土: 191万931?(世界16位、13,000を超える島々で構成)
民 族: ジャワ族41.7%、スンダ族15.4%など主要なだけでも15民族あり
言 語: インドネシア語(多民族国家なので統一言語として決めている)
宗 教: イスラム教88.6%、キリスト教8.9%、ヒンズー教1.7%、仏教0.6%
気 温: 年間通して日中気温30℃超、最低気温25℃前後と温暖
一人当たりGDP:3,542.9米ドル(日本の約7%、ASEAN内で5位)

 まず、ジャカルタの最初の印象は「大都会」。高層ビルが立ち並び、道路にあふれる車とバイクに圧倒されます。リゾート地のバリ島とは全く趣が異なり、まさにここはビジネスの街。
 そこで見かける車は見なれた日本車ばかり。インドネシアは日本と同じ右ハンドルということもあってか、日本車シェアが97%と、日本国内よりも高く、バイクについても99.7%が日本メーカー製で、現地日系企業が生産しています。年間の自動車販売台数は90万台、バイクは800万台(2011年)で、年々増加しています。
 これを支えるのが経済成長と人口増加の2点。2012年のGDP成長率は6.2%、2013年は6.8%と伸びることが予想されています。
 生産年齢人口が増加することで得られる成長を人口ボーナスと呼びますが、インドネシアではこれが2030年代まで続きます。このような人口増加が経済の活力を生んでいるといっても過言ではないでしょう。
 特に、GDPに占める民間消費が54.6%と高いことが、諸外国の経済変動の影響を受けにくいという安定成長する経済を支えています。
 一方で課題もたくさん抱えているようです。
 (1)人口が多いことで、毎年200~300万人の新規労働力が生まれてくるので、最低でも6%の成長がないと雇用を吸収しきれない。
 (2)海外企業の直接投資がジャカルタ周辺に集中していることで、工業団地が不足し価格高騰を招いている。(高速道路の交通渋滞の原因にも)
 (3)道路の舗装率が0.8%と整備遅延による交通渋滞の深刻化、港湾キャパシティ不足による貨物の滞留が顕著に。(ロジスティクスコストが商品価格の27%にまで上る)
 (4)現地の中間管理職の人材不足とともに作業員クラスの人件費上昇が激しくなっている。
  (工業団地では、賃上げにより韓国の縫製業が撤退したとの話も聞かれた)
 (5)採用するとなかなか辞めさせられない、賃上げ前提の厳しい労働法制もネックに。(イスラム教独特の考え方や宗教行事への理解も重要だそうです)
 (6)天然資源はあるが加工設備がなく、現地での原料確保は輸入に頼らざるを得ない。
 港湾整備や地下鉄建設などのインフラ整備事業は予定されているが、インドネシア政府は、経済成長と雇用の吸収を両立させようと低賃金の労働集約型産業から高付加価値型産業誘致へと産業政策を転換しようとしているようで、これに伴い賃上げデモが相次いでいるとの話。
 経済は1割の華僑が握り、政治は9割のインドネシア人が握るといわれ、政府は国民の所得向上を図らないと選挙に負けるということもあり、デモを容認する姿勢だそうだ。そのターゲットにさらされているのが日系企業というのも事実のようで、ジャカルタで始まった賃上げデモがどんどんと地方に広がっているという。
 聞いたところによると、作業員クラスの賃金は昨年2万5千円くらいに上昇し、この1年の上昇率は50%を超えた企業もある。
 このペースで賃上げが続けば、日系企業も逃げ出すのではと、話を伺っていて懸念を感じましたが、人口、天然資源を考えると、まだまだ消費は拡大し、産業の発展の余地もあることも同時に感じたところです。
 ショッピングセンターなどでは高級ブランド品があふれる一方で、一歩外に出ると屋台で食事をしている風景。路地に入れば水たまりだらけで、歩道や観光地には物乞いをする人も見受けられ、この国の「国内格差」が政治や政策にどう影響していくのかを注意深く見ていく必要があるでしょう。1回目はちょっとまじめなレポートでした。

(峠岡伸行)

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ジャカルタのオフィス街の朝

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街にあふれるバイクとトゥクトゥク

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2階建の古い住宅街の向こうに
高層ビルが建ち並ぶジャカルタ市内

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訪問した日系の工業団地の管理棟、
日系金融機関の事務所も入る

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