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現代の信長、時代の変化を語る~中小企業経営診断シンポジウム参加報告~

2013-11-25

 去る11月7日(木)、東京ガーデンパレスで開催された中小企業診断シンポジウムに参加しましたので、今回の内容について報告させていただきます。
 開会挨拶に立った福田会長は、「自分が診断士になった頃は、1人で1社の診断が容易であった。しかし、今は中小企業も多様化、高度化、国際化して自己完結型診断は無理になっている。今は人的ネットワークが欠かせない」と話され、シンポジウムはスタートした。
 続いて、基調講演に入り、有限会社 あきゅらいず美養品代表取締役の南沢典子氏から、「自然、あまのじゃく、野放し、経営」と題し、講演が行われました。
 正直言って、講演を聞くまで「あきゅらいず美養品」という会社を知りませんでした。会場で、会社のパンフレット3部と南沢氏の書いた小冊子が資料として渡されたが、それに目を通す時間も無かったので講演が始まる時は全く先入観なく白紙の状態でした。

(講演の要旨)
 私は東京下町の生まれで、少女時代はお転婆、一時、不良も経験し、高校を卒業して大手の化粧品会社の美容部員として入社した。その新入社員の時に、みんなの前でこの会社の社長になりたいと言った。部屋いっぱいに化粧品を並べ自分で試したり、みんなが制服を着ているのに“メイクで制服は似合わない”と自分は私服で通したりした。当時、営業成績は良かったが、奇抜なメイクで会社の評価は低かった。
 2万種類も化粧品がある中で、何が良いのか自分でも分からなくなり、また、肌も改善されないことなどから34歳の時に会社を退職。同時期に2歳と4歳の子供を連れての離婚とも重なった。製品開発は中国の研究機関に依頼したが、開発費用はなく出世払いで頼み込み、怒鳴られ大変な思いをしたが何とか押し通した。商品のコンセプトは、美容部員時代の経験から、何もしない方がいいのでは、そんなに塗らない方がいいのでは、との考えに立ち「すっぴん」がコンセプトになっている。
 販路がなく、テレビショッピングを始め、品切れのハプニングで火が付き、1日の受注が1億円になった日もあったが、テレビ局と喧嘩になりテレビショッピングを降りた。売上ダウンで大幅な赤字に落ち込み周りから色々言われたが、1億までは自分が働けば何とかなると思い苦境を乗り切った。この時の経験から、慢心に気付き新しい仕組みを学び始めた。売上を上げるには、夢とビジョン作り、傍を楽しませる理念の向上が必要だと知った。採用も中途採用から新卒採用に力を入れた。
 社屋のある三鷹と屋久島、岩国の3か所に自社で農園を持っている。美容も食べることから始まり、自分たちがどう食べていけばいいかを考えて、農業にも取り組んでいる。今は実験段階だが、生薬、ハーブの栽培といったメディカルファーム、メディカルサービスを今後の企業活動で視野に置いている。これからの社会を考える時に農業は重要な産業となるだろう。
 20年後、自分は66歳。その時代の社会、会社はどうなっているのか、今とは違う豊かさになっているのではないか。そう考えると、今は、20年後の日本の姿を作れる絶好のチャンスではないかと思っている。

 後日、パンフレットと小冊子を読み講演と合わせて、以下「あきゅらいず美養品」という会社について素晴らしいと感じた点を紹介したいと思います。

(1)若さと、リスクをリスクと受け取らないバイタリティ。
(2)商品価値の信念とその販促行動がブレないこと。
(3)会社を起こして幾度も壁に突きあたって、その都度新たな進化を生み出していること。
(4)時代を見ているというか、時流に合っていること。今も、10年先、20年先を考えている。
(5)美容も食べることからと農業を見据え、自社栽培による社員食堂もあり、またその食堂も一般に開放するなど地域と密着しながら活動している。
(6)パンフレットを見て気付いたが、グローバルもしっかり見据えていた。
(7)いつも一生懸命!だと思う。「布団に入ればいつも3秒で寝る」とのこと。

 「あきゅらいず美養品」の社長、南沢典子さんをイメージすると織田信長が浮かんだ。
 若い時は服装や行動が奇抜だったこと、時代を見る目が今でなく先を見ていること、人を動かすのに先頭になって一人駆け出すことなど、天下を取るかどうかは分からないが「今までのやり方で日本は進まない」と考えている点は、織田信長に通じるところがある。
 今回の基調講演の中で、南沢氏は、「ネクタイをしているのが格好良かった時代とはすでに世の中変わっているんだぞー。また、これからまだまだ変わるんだぞー」と、言いたかったのではないだろうか。

 以上、基調講演の内容について紹介させていただきましたが、午後には3つの分科会に分かれ、(第1分科会)中小企業庁長官賞対象の経営革新支援事例論文4件、(第2分科会)会員グループによる調査・研究3件と首都圏の災害対策に係わる提言3件、(第3分科会)東京都中小企業診断士協会による研究会成果6件、の発表が行われました。

(早見光弘)

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