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ベトナムの勢いとバイタリティを実感

2014-3-26

1.ベトナムとは
 ベトナムの面積は約33万㎢で日本の0.87倍、人口は8,877万人でアセアン諸国ではインドネシア、フィリピンについて人口が多い。一人当たりGDPは約1,500USドル(ホーチミン市は2,250USドル)。国土は南北に長く、北部と南部では文化、歴史、政治、経済面で大きな違いがある。
 ベトナムへの進出のメリットとしては、安価・豊富な労働力、消費市場拡大の魅力、宗教上の懸念少、地理的な位置等が言われている。特に資本金制限、中古設備持込可、レンタル工場など初期投資の低減が可能であり、撤退時においても資本や機械設備の本国持ち帰り可能などの点は、中小企業にとって進出しやすくなっている。
 一方で、ここ数年の人件費上昇、原材料の現地調達困難、管理部門人材が希少、品質管理の難しさ、煩雑な通関手続き、不透明な商慣習等の課題も多い。

2.ベトナムに進出している福井県企業
 日華化学(株)は海外進出を積極的に展開している企業であり(7ヶ国8工場)、ニッカベトナムは10年前に設立された。現地生産・現地販売の基盤を確立した現在は、日本・中国・アセアン諸国全体のサプライチェーン構築の中核基地としてベトナムを位置付けており、4ヶ国の営業スタッフを常駐させるなど、同社のグループ力をより発揮できる体制をとっている。現地のニーズに合った応用技術開発を進めており、現場・多工程・技術提案を強みとしている。
 ダイムベトナムは1年半前にベトナムで生産を稼働させている。従業員教育や品質安定等の設立初期の課題をクリアしつつあり、今後は生産ラインを増やすなど生産力向上に向けた第二段階に入る。第一ビニール(株)は10年前から中国で生産しているが、生産能力拡大が必要となったためベトナムに工場を作った。同社がベトナムに進出したのは人件費・親日的な国民性度・宗教等の理由からであるが、決め手はベトナムの現地企業との強い信頼関係を築くことができたからであるという。現地をよく知るパートナーの存在は海外進出に欠かせないとよく言われているが、間違いないようだ。
 フクビベトナムは昨年10月に稼働したばかりの企業である。フクビ化学工業(株)はタイに工場を有しているが、生産キャパがなくなったことから新たな工場が必要になった。タイでは工場用地の空きが少なく、また、現地企業との合弁であり地域や事業の広がりに制約があることから、東アジア全体を視野に入れた生産・営業体制を考えている同社は、ベトナムを進出先に決定したとのことであった。同社の工場を見学してみたが、5Sの実践や機械の合理的な配置等、日本式経営を現地社員に浸透させながら、理想とされる生産体制を作り上げつつあるように感じられた。

3.ベトナムの印象
 ベトナムの第一印象はバイクが多いことだ。朝も、昼も、夜も本当に多くの人がバイクに乗っている。彼ら(彼女ら)はどこから来て、どこに向かっているのか(二人乗りも多い)。その数多さにもかかわらず、アイコンタクトにより接触を絶妙に避けている。混乱の中の秩序を実感した(バイクの流れに切れ目がない大きな道の横断は本当に度胸がいったものだが、少しずつ平気になった。少し、現地の生活になじんだ気がした)。
 ベトナム人の女性のパワーを感じた。ベンタイン市場やビンタイ市場で声をかけてくるのはほとんど女性、しかも積極的。知らん顔して通り過ぎようとしたら背中をくすぐって引き留めようとする。チョロンの天后宮で地域活性・観光に関するアンケートを取っていた大学生も女性で、観光客にどんどん話しかけてくる(企画し実行することが素晴らしい)。フクビベトナムの経理・事務スタッフ(4人)は全て女性で全員が日本語を話す(もちろん男性もちゃんと頑張っているが、予想以上に女性が活躍していたということ)。

4.ベトナム研修旅行の総括
 ベトナムという国は、ベトナム戦争でアメリカに勝ち、共産国家でありながら隣国の中国に屈しなかった国である。また、モンゴル帝国を撃退した2か国のうちの一つである。(もう1か国は日本である)。このような歴史を鑑みてみると、現在は新興国という位置に甘んじているとはいえ、ベトナムという国は底力を持った国であり、他の新興国より一段の発展のポテンシャルを国民が持っているのではないかと思うようになった。
 現在のベトナムは、ベトナム戦争・中越戦争の動乱期を経て、ドイモイ政策・中越関係正常化・アメリカとの国交回復等を進め、経済発展の基盤が固まった1995年から20年を経過している。
 今回、研修旅行に参加して、現地の人の生活や雰囲気が戦後20年を経過した昭和40年前後の日本によく似ているように感じられた。当時の日本は、日常の生活はまだまだ貧しかったものの、道路・鉄道のインフラ整備等大規模な国家プロジェクトが進み、給与が毎年上がり家庭内の耐久消費財も少しずつ増えていくなど、将来の豊かな生活への期待が実感できつつあった。
 私は、今のベトナムにも、当時の日本同様に成長する国の勢いとバイタリティを強く感じたのである(但し、このように感じられたのは、昭和40年に小学校低学年であった私の原風景が重なり、単に郷愁を呼び起こしたに過ぎないかも知れないが)。
 今年は、昭和40年から数えて49年になる。49年後のベトナムは、今の日本と比べてどのように変わっているのであろうか。

(長谷川俊文)

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日華の海外戦略について伺う

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ダイムの工場では若い作業員が働く

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フクビの生産ラインを見学

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隙間があれば突っ込んでくる
バイクの群れ

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フクビの総務スタッフにもインタビュー

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バラック建ての向こうには
高層マンションが建ち始めている

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