診断士の視点

インドネシアの街角から

2019.03.12 投稿峠岡 伸行

 ジャカルタは、人口1千万人を超える高層ビルがたち並ぶインドネシアの首都で、周辺の地域を加えれば3千万人を超える大都市です。
中心部だけでなく、郊外にも、大きなショッピングモールを併設した巨大なマンションが続々と建設中で、ジャカルタ市内では1億円もするマンションが売り切れるほど富裕層が生まれている街です。
 ジェトロ事務所の窓から見えるマンション群の手前には、古くからの住宅地が広がり、農家と思われる庭にはニワトリを飼っている様子が見えます。
経済が成長するに従って貧富の差は拡大し、特に産業が集積するジャワ島とそれ以外の島々との差はさらに拡大しているようです。
 といっても富裕層のほとんどは華僑で、財閥としてインドネシア経済を牛耳っていて、政治はインドネシア人に任せていますが、自分のビジネスを有利に進めるために政治的な圧力をかけることもあるようです。
海外からの投資は、財閥との合弁で進出を行っている企業が多く、経営的な独立性は下がっても、インドネシアでのビジネスには効果的ということもあるようです。
 さて、インドネシアはイスラム教の国というのは、ご存知のところだと思いますが、なぜイスラム教になったかというと、ヨーロッパ、中東とアジアの交易の拠点として、マレーシアのマラッカやインドネシアの港が使われ、その交易に便利なように宗教もイスラムに合わせていったという話が聞かれました。
なるほど、世界遺産となった「ボロブドゥール」は仏教遺跡ですし、同じ地域にある「プラバナン寺院」はヒンドゥー教の寺院といったように、元々は仏教やヒンドゥー教が進行されていたようです。
 今回、訪問した東南アジア最大のモスクと言われる「イスティクラルモスク」には、宗教学校が併設され、モスクの中庭では、コーランを復唱する学生たちの姿が見られた。
ただし、男子グループと女子グループに分かれ、離れた場所で勉強していて、これもイスラム教の教えに沿ったもののようです。
 男女を分けているのは、このような場面だけでなく、空港のセキィリティチェックも、男女別になっていて、女性専用レーンが設けられていました。
 イスラム教では、1日に5回のお祈りの時間が決められていて、空港やショッピングモールなど公共的な場所には必ず男女別のお祈りの部屋が用意されています。
 日本の進出企業でも、操業時間中にお祈りをすることを認めていて、社内にお祈りの部屋を必ず設ける必要があり、宗教的なことは大事にしているようです。
 以前伺ったことですが、一生に一度はメッカ巡礼を行うのがイスラム教徒の夢で、日系企業でも公休扱いで巡礼を認めているとのことでした。
 宗教観の薄い日本人にとって、なかなか理解しにくい部分もありますが、グローバル化を進める中で最も注意すべきことが宗教なのではないかと感じます。
 イスラム教がらみでもう一点触れておくと、イスラム教では豚を食べないのと同じようにお酒も飲みません。
お酒だけでなく、アルコール発酵した食品は食べないので、お醤油などの発酵食品のハラール認証は、相当厳しい水準のようです。
 お酒を飲まない代わりに、甘いものを食べるのが好きなようで、マレーシアでも聞かれたことなのですが、糖尿病の人が多いということです。
 確かに、イオンモールのフードコートでもお菓子の屋台が多くみられましたし、ホテルの喫茶室の前にもおいしそうなケーキを並べたショーケースが見られました。
 今回、国内移動に使ったガルーダ・インドネシア航空の印象を述べたいと思います。
 ジャカルタとジョグジャカルタの往復に、ガルーダ航空を利用しましたが、快適な旅をさせていただきました。
国内線なのに、座席のモニターではたくさんの映画が見られたり、1時間のフライトなのにパンやお菓子のサービスがあったりと、日本の国内線よりもサービスが充実していると感じました。
 もちろん、インドネシアの所得水準を考えれば、国内移動に飛行機を使う人は富裕層に近い方々ですし、東南アジアはLCCとの競合も激しいので、サービス向上は当然の結果かもしれません。
 それでも、20年くらい前には、世界の航空アライアンスに入れてもらえなかった水準だったものが、ここまで向上したのかと考えると、それだけインドネシア全体の経済が成長した明かしでもあり、今後もますます向上していくことを予感させるフライトでした。

  • ジェトロ事務所から見えるマンション群
    ジェトロ事務所から見えるマンション群
  • コーランを読みあう生徒たち
    コーランを読みあう生徒たち
  • 女性レーンにはピンクの標識が
    女性レーンにはピンクの標識が
  • イオンモールのお菓子を売る屋台
    イオンモールのお菓子を売る屋台