福井中小企業診断士協会

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調査研究レポート

中小企業における宅配ビジネス

はじめに
中小企業において、ライフスタイルの変化や高齢化社会の進展、環境意識の増大などへの対応が求められていることは言うまでもない。
このような変化に対して、中小小売商業者、サービス業者の中には、現在、打つ手が見出せないでいる事業者も少なくない。
そうした企業の経営に実践的に役に立つ、また取り組みやすいテーマとして、様々な角度から注目され始めている「宅配」について調査研究を行った。
最近、宅配サービスの見直しや強化に乗り出している事業所が増えてきており、新たなビジネスチャンスをつかんでいる点が注目される。このような事業所は宅配サービスを単なる配達サービスと捉えるのではなく、事業の発展につなげるべく戦略的に取り組んでいるのである。
なお、現状分析や事例の調査などの面で、まだまだ不充分な点が多く、今後も継続して研究を続けていく必要があることを痛感する。

報告書第6章 「中小企業への提言」の要約を以下に述べる。

(1)高齢化の不安
宅配サービスが高齢化社会を支える一つの重要な要素になる可能性がある。
車社会は今後ますます加速することが予想され、郊外の大型店利用が増えると答えた消費者がアンケートで一番多い。その一方、買い物に車を使えない高齢者が、宅配サービスを利用して、日常の生活に必要な物から、おしゃれ着、旅行着のような物まで買い物をするということは十分あり得ると思われる。今の高齢者は、年金生活で細々と暮らすというイメージよりも、第2の人生を快適に楽しむといった人が増えてきている。可処分所得もある程度期待でき、食料品一つとってみても、おいしくて、安全なものを求めている。この希望に答えられる商品(サービス)を満たす物を準備できれば、宅配サービスの将来は明るいと言えよう。

(2)サービスと価格のバランス
消費者からの宅配サービスに対する意見・要望の中で一番多かったのが、サービス内容と価格に関するものであった。
宅配サービスについて、時間指定や配達人の態度、商品知識など、ただ届けるだけでなく、それに付加価値を加えたものを求めている。時間指定のメリットは相手がほぼ確実にいて、受け取ることが出来る=不在による再度の来訪がいらないということであろう。
価格に対する要望では、依然として宅配サービスに対価を払うことに対する消費者、特に女性の抵抗感は大きい。しかし、質の良いサービスには当然対価が必要であろう。消費者にその点をきちんと説明し、納得していただける努力をすれば、理解してもらえるのではないか。サービスの対価としては、商品の価格、配送距離等にもよるが、アンケートでは500円以内をあげた人が全体の86%になっている。1回500円玉一枚というのが一つの目安になるのではないだろうか。

(3)事業者の取り組む方向
消費者から見た宅配サービスを考えると、その期待は大きいものであると感じられた。それは事業者から見れば十分ビジネスチャンスがあると言えよう。そのチャンスを生かすためには、消費者の不安・不満をいかに解消していくかになると思われる。

(4)インターネット販売成功に向けて
宅配サービス成功へのカギとして福井の事業者がどのような課題を持っているかについて、アンケート調査で明らかにされた。その結果、「消費者が宅配サービスを日常利用できる体制整備」(有効回答者の57%)がもっとも多かったものの、次に多かった項目として、「通信販売・インターネット販売」(有効回答者の41%)を課題として意識していることがわかった。
 実際にインターネット販売に先行して取り組んでいる企業はどんな課題を抱えているのだろう。郵政省のインターネットコマースによると、サイトの認知度が低い、売上が増えない、アクセス数が増えないといったマーケティングノウハウが不足しているといった課題を多く抱えている。中小企業診断士の出番である。

中小企業は、その機動性・柔軟性などが従来評価されてきている。そしてまた、顧客の本来の姿を知っている、友好的な関係を維持しているという事実こそ、中小企業固有の財産といえるのではないか。中小企業のこの財産と顧客との信頼性を生き残りの糧として、宅配事業に積極的に取り組んで行って欲しい。

(社)中小企業診断協会福井県支部
報告書に掲載されている参考ホームページ
http://www.kasaya.com
http://www.petit.fcci.or.jp

最後になりましたがこの調査・研究にあたって、ご協力をいただいた全ての方に、この場を借りて、感謝の辞を申し上げます。

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