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和倉温泉「加賀屋」のおもてなしと金沢駅周辺の視察研修会を開催

2012-05-11

 去る6月18日(土)・19日(日)の2日間の日程で、和倉温泉「加賀屋」のおもてなしに関する研修を含め金沢駅周辺及び七尾市の観光情報提供等に関する視察研修会を開催し、14名の会員が参加した。

 この研修では、創業105年を迎え「プロが選ぶ日本のホテル・旅館百選」では30年間連続で総合第1位を受賞している和倉温泉「加賀屋」の接客サービスやおもてなしを体感するとともに、その中心となる人材育成策について伺うことを目的に実施し、併せて平成26年度末に迫る北陸新幹線金沢駅開業に向けた整備状況、商業や観光関連施設の視察も行った。

 特に、加賀屋では、客室担当教育係の長子さんから「おもてなしの心先代女将に学んだ事」をテーマに講演いただいた(講演内容は別掲)ほか、旅館のバックヤードもご案内いただき、自動リフトを使った配膳システムやコンベンション施設の見学をはじめ、旅館全体に配置された美術品を見学するツアーなど実際に行われている宿泊者向けのメニューも体験した。

 実際に宿泊や見学など体験し感じたことは、コンベンション施設などの大きな設備投資を回収するためには「価格競争」に巻き込まれない「サービスの質」の追及と、これを支える「人材育成」の仕組みが重要である点。

 大型旅館であるからこそブランドを維持し続けなくてはいけないというたゆまぬ努力の結果が、「30年連続第1位」という評価に表れていることを強く感じた。

 びっくりしたのは、客室に入ると浴衣を2枚準備いただけること。これは他の旅館ではないサービスで、入浴等で汗をかいた後の着替えにまでの気遣いが行き届いていると感激した。また、なにげない会話から、参加者の中に誕生日の方がいることを知って、食事の際に記念品をプレゼントいただくなど、お客様をリピートにつなげるための気遣いや心遣いを学んだ研修会でした。(峠岡伸行)


講演内容の紹介(抜粋)
「おもてなしの心先代女将に学んだ事」(株)加賀屋客室担当教育係長子さん

 最近、全国各地のいろいろな業界から講演の依頼を受けるが、あらゆる業界でサービスの心が求められているということではないか。

 「お出迎え、お見送りをしっかりと」というのが先代女将の教えで、いらっしゃる時も重要だが、お帰りの際はもっと重要で、バスのお見送りは、お帰りになる目の前のお客様だけでなく後ろから見ているお客様がいらっしゃるので、その目を意識しておくことが大切である。また、先代女将は、見送りに出た従業員にありがとうと声をかけることを忘れなかったが、これは女将の気遣いであり、ありがとうは心を癒す言葉であった。

 お客様の印象の60%が身だしなみにあり、目から入る情報として身だしなみは最大のサービスである。これは、お客様に気持ちよく過ごしていただくための第一歩。

 接客にあたっては、マニュアル+αが大事。+αは、お客様の行動や話の中からキャッチしてさりげないサービスができること。サービスはお金がかからないもので、それによってお客様が感激され、リピート客になっていただくきっかけとなる。

 クレームがあったら、笑顔できびきびと行動することが、クレームを深刻化させないポイント。加賀屋では、年3回クレーム大会を行い、これまでのクレームの原因を皆で考える会を全員で行っている。クレームは、次のための勉強材料で、クレームに感謝することも大事である。

 人材育成の面では、新入社員には、注意は一回で、ほめるのは4回も5回も言葉にすることを心がけている。言葉は心の鏡、使い方で伝わり方も変わるし、次の行動にも影響する。
お客様は、接客係をプロとしてみる、だからプロにならなければならない。

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