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インドネシア旅行記

2013-03-08

2月20日(水)
【インドネシア1 出発まで】
 今日、20:00の飛行機で羽田から成田で1泊、明朝飛行機でインドネシアに飛ぶ。私にとって、初めての国だ。福井は真冬なのに、インドネシアは、赤道直下である。冬物を成田に預けるというが、どんな服装で行けばいいのか。とくに、足回りが不安である。
 とにかく今日は、成田までで、近くのホテルで1泊。ところが、羽田から成田までの電車が長いこと。2時間近くも通勤電車に揺られた。成田がまるで、地の果てのように思える。成田空港の使い勝手が悪すぎる。あれだけ大騒ぎして作った空港なのに、これでは不便すぎる。すべて羽田に集中させればいい。誰かの利権がなければ、とっくにそうなっているであろう。福井から、空路を入れて夕刻から5時間。やっとの思いで、出発地近くのホテルにたどり着いた。

2月21日(木)
【インドネシア2 移動】
 成田から、約8時間のフライト。出発が2時間遅れ、いささかうんざり。機材の不具合らしいが、そうだとしても、本当に15分程度で修復できたのか。ただ、エコノミー席にしては、モニター装備がそろっていて、それほど退屈せずに過ごすことができた。
 現地到着後、ホテルから市内のショッピングセンター(スナヤンシティ)へ、夕食に出かけた。5~6キロを、タクシーで1時間以上かかる渋滞である。乗用車の混雑の中を、無数のバイクが器用にすり抜けていく。タクシー代およそ30000ルピア(300円)。夕食は中華料理とビール2杯ほどで、1人320000ルピア(3200円)。帰りは10時近くになって、道路は空いていたが、ベンツタクシーに乗ったため、およそ60000ルピア(600円)の支払いであった。今日1日、ほとんどを移動に費やす。

2月22日(金)
【インドネシア3 渋滞とトイレ事情】
 朝、ジェトロでこの国についてのレクチャー。午後は、日華化学の現地駐在人の話を聞いた。
 ジェトロでは、この国の自動車市場にも触れてもらった。この国では、中古車の価格が年間数%しか減価せず、高値で取引されている。自分の車を中古車として高く販売するために、磨き立て、飾りたてて「商品価値」を挙げている。そうやって、30年近く乗るという。
 そのせいか、とにかく車が多い。どこへ行っても渋滞である。これだけ渋滞が多いと、移動を伴うビジネスはきわめて効率が悪い。したがって、これからの経済発展のポイントは、道路インフラの整備であろう。田中角栄みたいな人が大統領になれば、極端に変わるかもしれない。そういえば、2年後に大統領選挙があるようだ。
 ところで、私のような前立腺肥大の中高年旅行者にとって、最大の敵は「尿意」である。液体が体内に入ると、すぐ排出したくなる。尿道が狭くなり、踏ん張りがきかないためだ。いざとなると、我慢できなくなる。今度の旅行でもかなり自重し、アルコール類は控えざるを得なかった。その点、日本国内での外出は気楽である。観光地や公園などでは、屋外のいたるところに公衆トイレが設置してあり、歩くときに目をつけておけば、たいてい都合がつく。コンビニもたくさんある。自分が慣れたのか、日本でのトイレ整備が進んだのか。両方であろう。
 ところがインドネシアでは、ホテルや大型ショッピングモール、飲食店を1歩出ると、ほとんどトイレがない。たまに有料トイレ(1000ルピア?)があるが、番人がいて、入るには勇気がいる。いちど余裕がなくなり、ガイドに案内されて独立記念塔近くの有料トイレに入った。一応「水洗」であって、床面所構わず流している。何の液体で洗っているのかは、不明。しかし、ここで用を足すのには、かなりのテクニックと、バランス感覚、柔らかい体が必要である。狭くて、ドアを開けても中に入れないから、一本足、半身の姿勢でチャックを下ろした。私の前に入った、ヒジャブの太った(トイレ空間より大きいと思う)女性は、どのようにして用を足したのであろうか。
 もっともこの国は、赤道直下で、1年中暑い。体内の液体は、ほとんどが汗となって空気中に拡散する。また、イスラム教徒が圧倒的で、国民の多くはほとんどアルコールを飲まない。したがって、それほど下から排泄することはないのであろう。立ち小便の姿も見かけなかった。
 ただ、この国が経済発展して、アルコールやコーラなどの飲料が大量に出回るようになると、どうか。いたるところに、不思議な水たまりが出没するのではないか。トイレの整備を並行して行わなければ、観光客どころか、中流以上の国民も逃げて行ってしまう。そして発展に伴い、排泄物以上に、あらゆる廃棄物が増大する。そのための下水や処理施設など、まさに、車の増加と道路整備の関係と同じである。あらゆるインフラ整備が、急務であろう。
 さて、あと1日、この国で「尿意」と戦わなければならない。しかし、どこへ行っても敵はいる。やがて日本に帰ると、新たな敵「汚染物質入りスギ花粉」と戦わなければならないのだ。

2月23日(土)
【インドネシア4 買い物と乞食】
 旅行者の常として、大小の小売店へ立ち寄った。もともと日本でも、ほとんど買い物をしないため、買いたいものがない。その私の目で見ても、この国の商品には魅力がない。まず、品揃えが圧倒的に不足している。そして高級感がない。高級店舗の中でさえそうである。もっとも、インドネシア産の商品はほとんどなく、目についたものは全部輸入品であった。価格も、日本で買うより高い。現時点で、この国では高級感あふれるものであれば、何をもってきても売れるのではないか。パッケージデザインなどの余計なものは、不要であろう。
 昨晩行った、「ブロックM」(日本人向けの居酒屋やカラオケが並んでいる)の日本料理店での食事も良くなかった。雰囲気と価格、料理の見映えは高級居酒屋だが、味は小学生並みである。日本人だったら、調理人でない普通の大人でも、こんな不味い料理は作らない。日本の味覚をもつ人なら誰でも、この地で日本人向けの料理店を開ける。あっという間に有名店になるはずだ。その割にこの店は、日本人(駐在者?)客で、満席であった。不味くても何とか食べられるので、これが当たり前になっているのかもしれない。(ただ、我々が入ったこの1軒だけみて、ブロックM全体を決め付けるわけにはいかない。)
 日本人駐在者が減少(98年ジャカルタ暴動以来、家族は帰国し、単身赴任が増えたと言う)しているためか、「ブロックM」の店舗数もだいぶ減っているようだ。福井の片町以下の街並みで、なんとなく怪しげである。ガイドブックでは、この辺の店は比較的「安心」できるとあったが、行き当たりでカラオケ店に入る勇気は、誰にもなかった。
 またこの国で、「乞食」の姿を何人か見かけた。屋根のついた歩道橋や、渋滞の車の間を回って、物乞いをしている。「乞食」というと、かならず軽蔑する人がいる。「そんなことをするくらいなら、なにか働けばいいのに」という。ただ彼らの働く場はないし、私自身は、「乞食」はそれほど低級な仕事には思えない。少なくとも、不要な商品やサービス(毎日のようにゴミが郵送されてくる)を売りつけて、代金をせしめる仕事に比べれば、ずっとましである。不要なものを提供し金銭をせしめる仕事は、社会にとって明らかにマイナスである。しかし「乞食」は、マイナスもプラスもない。むしろ、施しする人に優越感を与えるだけ、世の中に貢献している。見た目が不快な人なら、「乞食」以外に、いくらでもいる。
 今日は、独立記念塔とモスク、ファタヒラ広場と、グランドインドネシア(この国最大のショッピングモール)を訪問し、そこからスハルト空港へ。21:30発ANA帰国の飛行機に乗る。エコノミー席は満員。さすがに、8時間も狭い席で、疲れる。何人か体調を崩した人がいた。私も少しおかしい。

2月24日(日)
【帰国 富士山】
 成田空港からは、36人乗りの小型機である。これで、成田からうんざりの陸路が省ける。この路線は、小型機で充分だ。そして、機内から雪の富士山がくっきりと見えた。孤高の頂からなだらかな斜面に新雪を被せた富士山は、まさに国土のシンボルである。これまで見た、どの富士山よりも美しかった。日本へ来る外人客(日本人でも)が、最初に飛行機から見る日本のイメージとして、これ以上のものはない。とくに1~3月の富士山は最高である。
 ただ、期待していたアルプス山脈(北ア・穂高の真上を飛んだはず)は、すべて雲の中であった。また小松から福井へは、吹雪の旅となった。

(佐治眞悟)

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