2013-04-12
今回のジャカルタ訪問は、(1)2億人を超える新興国インドネシアの経済を体感すること、(2)日系企業の現状と課題をヒアリング調査することで、今後の中小企業の海外展開を考えること、の2点を目的として掲げ、正味2日間の現地滞在をフルに活かして、いろいろなことを見聞きしてきました。
〈変革期にあるインドネシア〉
2期10年にわたるユドヨノ政権が交代時期を迎え、2014年に大統領選挙を迎えるが、国内産業保護派と外資誘導による成長重視派に分かれた戦いとなる見通しのようだ。
すでに、最近の新聞記事でも、国内産業保護的な政策が見られ、一方で、日系メーカーの現地進出の報道も盛んになってきている。
確かに、現地を訪問して活力は感じるし、富裕層や中間層の拡大などで経済は発展するだろうが、外資頼みという感じは否めないし、今後も経済は華僑が握っていくことは変わらないだろう。
しかし、駐在する方々のお話を聞いて感じたのは、「雇用管理については今後もいろいろな課題が発生するのではないか」という点。
長年グローバルに展開している企業には、多くの経験やノウハウがあるし、現地での採用実績の中から人材育成にも取り組んでいるので、現地での変化(経済変動への対応や新規取引先開拓など)にも対応できるだろうが、下請け取引を中心とする中小企業の進出においては「変化」(政治的・経済的両面で)が起こった時に対応できないのではないかとの懸念を強く感じました。
インドネシア特有の労働法への対応やイスラム教を尊重した労働環境配慮など、他のアジアとは異なった取り組みや工夫が必要であり、このような雇用に関する現地でのコーディネート体制の必要性も強く感じた。
また、現地で駐在するスタッフにとっても思い通りにならないことが多いようで、「慣れること、我慢すること、自ら溶け込む努力をすること」など英語力より環境適応力が必要であると実感した。
〈活発な消費と流入する外資企業〉
華僑の中での富裕層拡大、インドネシア人の中間層拡大などそれぞれのマーケットが拡大していく途中であり、高級ブランド品に手が出る人たちはまだまだ少なく、ショッピングモールを見学しても飲食店の賑わいが目につきます。
高級スーパーやショッピングモールも外資系企業が地元資本と組んで出店しているケースが多くみられ、どんどん欧米風な食品や商品の消費が進んでいくだろうが、やはり最初は手が出しやすい「飲食」なのでしょう。
この「飲食」は、小資本でも出店可能な分野なので、中小企業に向いているのかもしれません。実際に、高級ショッピングモールの中の「回転ずし」店は、現地の方々(親子連れも)で行列ができるほどで、「からあげ」店も出店するなど日本食ブームというのもあるように感じました。
一方で、日本人駐在員が集まる飲食街で提供される日本食は、日本人にとっては今一歩といった感じで、良い素材が手に入ればという前提はありますが、まだまだビジネスチャンスがありそうです。
成長するアジアの消費を取り込むことは、日本企業の成長に不可欠といいながらも、実際に現地で展開するには困難もあります。しかし、「挑戦」をしなければ道は開けないのも現実で、しっかりと準備し素早く行動することが重要であると強く感じました。
(峠岡伸行)
高層ビルや高層マンションが立ち並び、
発展するジャカルタ市内
JETROジャカルタ事務所を訪問し、
経済状況や投資政策を伺うとともに、
今後の経済発展の課題についても
意見交換
日華化学の現地法人を訪問し、
約30年にわたるインドネシアでの
事業活動を伺うとともに
雇用に関する課題などを意見交換
インドネシアの工芸品やアンテークを
扱う土産物店の集積なども見学
高級ショッピングモールの演出は
中国風なものが多く、
富裕層像が見える
高級品スーパーでは、レイアウトや
品揃え、演出などを見学するが、
欧米資本が中心で、生鮮以外は
外国からの輸入品がほとんど