2013-07-18
(1)塩釜水産物仲卸市場
仙台市を訪問したついでに、海岸沿いの塩釜市まで足を延ばしてみました。
塩釜港は、生まぐろの水揚げ日本一の漁港で、その岸壁近くに魚加工工場の団地が設けられ、その一角に塩釜水産物仲卸市場があります。
地元の鮮魚店や寿司店など向けの仲卸が中心の市場ですが、観光客向けの販売も行っており、観光バスでの買物ツアーの受入も行っています。
訪問したのは月曜日のお昼ということもあって、店じまいに近いお店もみられましたが、市民の方々が買物される姿も多く見受けました。
八戸市の八食センターほどの賑わいはないものの、宅配サービスやその場で購入して自分なりのどんぶりを作って楽しめるようなごはんやみそ汁の販売も行われていました。
やはり生まぐろ日本一というだけあって、観光客や市民向けに、まぐろの中落ちをパックにして販売する光景も見られました。
ただ、単品一つ一つのパックが千円程度となり、家庭用には良いのですが、個人客がその場でどんぶりにして食べるにはちょっと単価が高くなりそうな印象で、観光客向けの小分けパックなどの対策も必要ではないかと感じました。
店頭の商品は、地元事業者や地元客向けの生ものが多く、お土産になるような塩干物や一夜干しが少なく、仙台市(宿泊地)と松島(観光地)の中間にあり、お土産を買うための立ち寄り施設としての可能性は高いが、全体としての印象は、地元事業者向けの市場のままで観光客を意識して開放したばかりといった感じですが、今後の可能性は感じる場所でした。
(2)「浦霞」醸造元(株)佐浦
JR塩釜駅近くにある日本酒「浦霞」の醸造元である(株)佐浦さんにも訪問してきました。
こちらは全国の品評会で、たびたび入賞する日本酒の蔵元で、東日本大震災の被害から復興されたところでもあります。
こちらは「日本酒塾」を開いて日本酒に関する知識を広める取り組みを行ったり、東京で試飲会を開くなど活発な活動を行っています。ちなみに、ホームページでは自社の紹介とともに「浦霞が飲める店」の紹介なども行っています。
さて、こちらの蔵元では併設した店舗に、「浦霞ギャラリー」を設置し、自社の製品だけでなく、工芸作家の酒器など作品を展示紹介しています。
また、「きき酒」コーナーを設置し、300円で専用のガラスのぐい呑みを購入すると、3種類のお酒を試飲できるサービスもあります。担当の方から、それぞれのお酒づくりや味わいの特徴を説明いただきながら飲むと、また一つお酒への興味が湧いてくるものです。
ビール工場などでは試飲コーナーを持つところも多く見受けますが、日本酒の酒蔵では珍しいのではないかと思います。試飲だけだとお店の損になるかもしれませんが、器を買った方へのサービスとなれば、試してみたい方も多いはず。300円で器を買っていただくという仕組みはなかなか面白いと感じました。
塩釜駅前では、地震の痕跡があちこちで見受けられますし、津波を受けて被害のあった商店街では再開発に向けたプレハブの事務所も見られました。
塩釜港には、まだまだ震災の瓦礫がうずたかく積まれた様子がみられ、本当の復興にはまだまだ時間が掛る印象ですが、一社一社、一人一人の取り組みにより少しずつ前進していることが伝わってきました。
(3)山形市の観光列車と有料駐輪場
再び山形駅のお話に戻って、観光列車について紹介したいと思います。
たまたま、米沢市からJRで山形駅に到着した時、隣のホームで観光列車「さくらんぼ風っ子号」の出発式が行われていたので、写真を撮ってきました。
この列車は、JR東日本が企画した山形駅発、寒河江市でのさくらんぼ狩りを体験するツアーで、小さな子供連れのご家族や老夫婦での参加が目立ちました。
車両に特徴があり、転落防止のアルミ柵はありますが通常の列車の窓を取り去り大きく開口し、木製のイスと小さなテーブルが据え付けられています。
駅構内の案内板では、夜にはビア電としても利用されているようで、東北の短い夏を楽しむ地元客向けの企画に大いに活躍しているようです。
福井県内の並行在来線は、将来三セク化が予定されていますが、地元客の鉄道利用拡大の企画として参考となる事例ではないでしょうか。
交通についてもう一つのお話は、JR山形駅の駅舎隣に市営の立体駐車・駐輪場が設けられていたのですが、有料駐輪場となっていました。
市営の有料駐輪場は、山形駅の西口と東口、中心商店街の3か所の立体駐車場に併設され、自転車の1日の利用料は50円で、定期券利用などもあります(駅周辺や中心街は駐輪禁止になっています)。
以前、鹿児島を訪問した際にも、鹿児島中央駅にも有料駐輪場が設けられていましたが、有料化は全国的な流れとなっているようです。福井市でも駐輪対策とセットにして有料化を検討してもよい時期ではないでしょうか。
駐車マナー、駐輪マナーは、安全で快適な街づくりに重要なポイントの一つですし、新幹線開業により他県からの入込客が増える前に、解決したい課題です。
(峠岡伸行)