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ベトナムの福井県企業を訪問して

2014-3-14

 ベトナムは街にバイクが溢れ、新しいものと古いものが混在する活気ある国でした。今回の視察研修で様々な見聞が出来ていい経験をさせていただきました。
 その中で、当報告書はベトナムで訪問した次の3社について感じたことを述べさせていただきます。

[2月13日(木)訪問]
・第一ビニール株式会社 現地法人
 DAIM VIETNAM CO.,LTD

[2月14日(金)訪問]
・日華化学株式会社 現地法人
 NICCA VIETNAM CO.,LTD
・フクビ化学工業株式会社 現地法人
 FUKUVI VIETNAM CO.,LTD
(以下、第一ビニール、日華化学、フクビ化学工業と敬称を略して記載します。)

1.ベトナム進出について
 第一ビニールは生産増強のため工場建設が必要になり、中国工場(浙江省)を移転拡張すべく現地で手続きを進めたが、先端産業誘致を進める地元政府の許可が下りず、アセアン地域で検討することとし、現在の工業団地オーナーとの出会いがあってベトナムに決めたとのことである。
 また、フクビ化学工業もタイやインドネシアを当たったが空きの工業団地がなく空きのあったベトナムに決めた。この2つの事例を見ても、これまで進出の容易であった中国や東南アジアも中国、タイ、インドネシアでは余地がなくなっているのが窺える。
 ベトナムはまだ受け入れの余地があるが、そう長くは続かないのではないかと現地の人が話していた。

2.設備について
 ベトナムは地震がないから建物構造も日本と比較にならず、設備も十分の一程度のコストで設置されていた。機械も日本からもあるが中国、台湾、韓国と言った近隣諸国からの輸入であり、すでに中国や東南アジアに進出している企業は日本というよりその国の社員がベトナム工場の建設に係わっている。

3.従業員について
 管理職の採用は各社とも人材紹介会社を通じて行っているようで、第一ビニールのゼネラルマネジャーはこれまで19か国を経験し、31年を海外で暮らしている人であった。ワーカークラスの人材はまだ集めやすく地域によっては団地に採用の掲示板を出すだけで集まるようである。
 言葉については、やはりグローバルであった。第一ビニールのゼネラルマネジャーは5か国語が話せ、日華化学では、ベトナム語、韓国語、中国語、英語、日本語が事務所を飛び交っているようである。フクビ化学工業は社内公用語を英語にしようと考えていたが事務所の現地採用の8人全員が日本語を話すのであえて日本語を社内公用語にしたとのことである。

4.原料仕入れについて
 各社とも輸入に頼っており、ベトナム国内での調達は出来ていない。第一ビニールは中国、台湾から輸入、ベトナムで若干加工品を扱っている程度。日華化学は中間体を輸入し、現地は応用技術の加工品である。フクビ化学工業は日本やタイからの輸入。このように原材料は各社とも輸入に頼っており現地での調達はない。それで、製品の中には現地でのコストの安さだけでは勝てないものもある。

5.販売先について
 販売先は各社それぞれである。第一ビニールは日本のホームセンター向け、日華化学はベトナムの染色会社向け、フクビ化学工業は日本への資材供給とベトナム、東南アジア市場への販売で、当地での受注も決まり出したようである。

6.まとめ
 3社を訪問して、共通のものと、それぞれ各社の事情とがあって興味深く聞かせていただきました。特に興味深かったのは、当地に進出して福井では訪ねて来なかった関連の業者の方が予想を上回って訪問してくれるということでした。
 また、ベトナム進出に関してアドバイスを受ける為、ベトナムの多くの日系企業を訪問したが、日本国内では競争相手として教えてもらえないようなことでも教えてもらったと言っておられた。
 情報がどこに集まるか。多くのしがらみで閉鎖的になりがちな日本より、仲間意識をベースとし、生産拡大を目指している海外の方が情報豊かになっているのではないだろうか。

(早見光弘)

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数日前に開店したマクドナルド・ベトナム
1号店

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フクビの樹脂成型設備

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ニッカの労務管理について日本語で
説明するベトナム人工場長

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第一ビニールの工場建屋と
出荷待ち在庫

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