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新潟市の中心市街地を訪問 −衰退する路面小売店と増加する飲食サービス−

2014-5-28

 先日、会議で新潟市を訪問し、新潟駅周辺や古町などの中心市街地を歩いてみましたので、少しだけレポートさせていただきます。
 ご存じの通り、新潟市は人口80万人を超え、政令市になっていますが、その始まりは信濃川と阿賀野川の河口にできた新潟町と沼垂町を起源に、中洲の広がりや埋め立てなどで広がっています。 
 まずは、新潟駅周辺の印象から紹介すると、現在の新潟駅は、昭和33年に移転によって新たに誕生した駅で、区画整理が行われた関係もあって、中心市街地側の北口にはオフィスビルやビジネスホテルが立ち並び、最近開発された南口には再開発による商業ビルなどが立ち並んでいる。
 新潟駅南側にある新幹線の駅舎の中には、お土産店や地元飲食店が見られるものの、駅舎とデッキで繋がる商業ビルには、大手家電店2店がキーテナントとして入り、他のテナントとして入っている飲食店などを含めても全国チェーンのオンパレード。4階以上は立体駐車場が整備され、駅の利用客も自動車の方も両方を取り込むため、郊外大型専門店がたまたま駅の横に出店したといった感じ。当然、新しい街なので地元の小売店もなく、これが地方駅共通の姿かと考えさせる光景でした。
 一方で、北口を歩いてみた感想とすると、こちらも、昭和30年代に出来た新しい街のせいか、オフィスビルなどの1階には全国チェーンの居酒屋などが入店し、小規模な地元飲食店と一緒に飲食ゾーンを形成しているが、小売店の姿はほとんど見えない。
 少しだけ、古びたアーケードの姿も見かけたが、その1階部分はシャッターが閉まり、たぶん以前はあったのであろう小売店の姿はなくなっていた。
 新潟駅から万代通りを進むと万代橋手前には、万代シティやバスターミナルなどの新たな商業ビルやオフィスビルが集積し、近代的なビルが続く街並みとなっており、地方都市らしさ(政令市なので地方都市といっては失礼なのかもしれないが)は全く感じられません。
 次に、新潟市の起源となった新潟町の中心部にあたる古町、本町地区を散策しました。
 新潟は、戦災に合わなかったため、街なかに明治期の木造建築や庭園が残る数少ない都市の一つです。そこで、街なか観光の側面から少し紹介してみたいと思います。
 旧新潟町は、日本海と信濃川に挟まれた細長いエリアにあり、碁盤の目状に通りが設けられ、今でもその通りが使われ、また通りを繋ぐ路地も残っていて、風情を感じる場所も多くあります。
 特に、旧新潟町の中心となる古町や本町通りの北側ゾーンにあるのが飲食街(昔から花街で、料亭なども残っている)で、町家を活用したお店が多く見られます。散策したのは、日曜日の朝だったのですが、前日の賑わいに反して、通りにはゴミ一つ見られず、街の利用者とお店と住民との良好な関係が伺われる発見でした。
 また、近くには、大正時代の商家であった旧齊藤家別邸があり、木造家屋と庭園が素晴らしく、数年前に新潟市が買取り整備して、現在は観光施設として一般公開されています。この周辺には、庭園を持った家屋がいくつか残っており、新潟市中心部の観光スポットになっています。
 一方で、中心商店街はというと、非常に厳しい状況と言わざるを得ない印象でした。
 象徴的なのが中心商店街の中にある立体駐車場の割引合戦で、ほとんどが昼間最大600円となっていて、日曜日のお昼でも空いている状態でした。
 アーケードの整備された「ふるまち」地区の多くの商店街では、シャッターが閉まったままのお店が多く、テナント募集の看板も出ていないところがほとんど。残っているお店も、和菓子店や八百屋、果物店、花屋、呉服屋など高齢のお客様が多いお店のみといった感じです。
 全国、どこの中心市街地でも見られる光景ですが、そうなる理由は共通していて、新しい街の使われ方を考え、工夫していかなくてはいけないのではないかと強く感じた1日でした。

(峠岡 伸行)

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新潟市中心市街地活性化基本計画に定める中心市街地は、新潟駅周辺から信濃川を挟んだ古町周辺まで広がる

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駅南口の広場と再開発ビル群

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新潟駅北口広場と
駅前に広がるオフィスビル

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古町のはずれにある飲食街には
木造の町家を活用したお店が
多く見られ、雰囲気を醸し出す

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中心商店街の立体駐車場の多くは、
昼間12時間で最大600円
(1日900円)とデフレ状態

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アーケードの掛った古町地区の
商店街の多くはシャッター通りに

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