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「日本酒」を観光に活かす −西条(広島)、新潟の酒蔵を訪問して−

2014-06-04

 3月に広島大学を訪問したついでに、東広島市の西条駅周辺にある酒蔵巡りを行いました。
 西条地区には9つの蔵元があり、そのうち8つがJR西条駅から徒歩県内にあるなど、日本でも有数の酒どころ。地元の方に伺うと、良質なお米と水が豊富にあることで、この西条地区で酒造りが盛んになったとのことで、漆喰の白壁に瓦が乗った酒造メーカーが集中し、街並みを見るだけでも雰囲気の良い地域です。
 いくつかの酒造メーカーを訪問しましたが、それぞれ独自の展示や案内、試飲コーナーを持っており、ちょっとした「はしご酒」が体験できます。
 今回、訪問した酒蔵の一つの賀茂鶴酒造では、ちょうど団体客の見学の最中で、蔵人から日本酒づくりについて映像を交えながら説明が行われていました。
 説明する会場には、いろいろな酒米の紹介展示とともに昔から使われていた桶や器具の紹介もされていて、酒造りの歴史や文化を知ることで、より日本酒に関心を持ってもらおうという強い意気込みが伝わってきました。
 また、説明会場の隣には試飲コーナーと即売コーナーが設けられ、特に賀茂鶴酒造では10種類以上の試飲用のお酒が用意され、セルフで試飲できるよう工夫されていて、ついついいろいろ試し、ついつい買ってみたくなるような演出もされていました。
 酒蔵にも大小いろいろあるようですが、その蔵独自でできることに取組みながら、地域・業界で連携して、「酒どころ西条」という地域イメージづくりに取り組んでいる姿が感じられました。
 一方で、先日訪問した新潟市でも、新潟駅からほど近い沼垂地区にある今代司酒造を見学させていただきました。今回は団体で予約しての訪問でしたが、一般の方も随時見学を受け付けていて、試飲コーナーの利用もできるようです。
 こちらの酒蔵では、仕込み時期以外は貯蔵施設など蔵の中の案内が行われており、昔から酒造りに使われていた器具や酒屋の看板、酒瓶など特殊なものも光を当てながらディスプレイされていました。試飲コーナーでも飲み比べができるよういくつもの種類が置かれ、商品の説明も行われていました。
 このような酒蔵見学は、産業観光の一つとして注目され、全国の多くの地域で取り組まれていますが、西条の場合は集積していることを活かしたまち歩きと連動させた観光プログラムになっていますし、新潟の場合は、それぞれの酒蔵が離れていることで、別な連携を図る手段として「ぽんしゅ館」という取組みが行われています。
 新潟県内にある95蔵の代表銘柄のお酒を集めて、有料で試飲できるのが「ぽんしゅ館」で、上越新幹線の越後湯沢駅に最初に設置され、最近、新潟駅の南口にもオープンしています。
 仕組みは、500円を支払って、お猪口と5個のメダルを受け取り、そのメダルを使って100種類以上ある試飲コーナーの中から5つを選んで試し飲みができるようになっていて、訪問した土曜日の夕方は、若い男女のグループで満員の状態になっていました。
 福井県内にも36の蔵元があり、それぞれ酒蔵見学コースを持っているようですが、連携や情報発信、共同販促などの面で、これらの事例を参考に、福井に合わせた取り組みが必要に感じました。
 また、物産販売コーナーに並ぶ商品アイテム数の多さにも驚かされました。日本酒だけでなく醤油や味噌、米菓子や農産加工品などとにかく種類が豊富で、観光客に「新潟は食どころ」という印象を与えるのに十分な売り場でした。

(峠岡 伸行)

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西条駅周辺には酒蔵が並び見学や
試飲コーナーもそれぞれが設けて
観光客の対応にも積極的

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いろいろな種類のお酒が
試飲できるコーナーも

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一般の見学者も随時受け付けている

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物産販売コーナー奥に設けられた
試飲コーナー

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各銘柄の自動販売機が並ぶ
特設コーナー

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