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神奈川県川崎市「グランツリー武蔵小杉」訪問レポート

2015-01-20

ヨーカドーの新たなスタイル「グランツリー」

 先日、昨年11月に神奈川県川崎市にオープンした「グランツリー武蔵小杉」を訪問しました。
 この「グランツリー武蔵小杉」は、セブン&アイ・ホールディングスが開発したモールで、セブン&アイグループの「イトーヨーカドー」、「そごう・西武」、「ロフト」、「アカチャンホンポ」を始めとする約150の専門店が入り、これまでのセブン&アイにない新たな商業施設になっています。
 地上4階、地下2階(駐車場)で売場面積37,000m²と超巨大というわけではありませんが、1日の乗降客39万人というJR南武線、JR横須賀線、東急東横線の武蔵小杉駅に近接し、また周辺には高層マンションが立ち並び、周辺には「東急スクエア」、「ららテラス」などの最近整備された商業施設もあり、人口増加となっている注目を集めるスポットです。

子供連れ夫婦をメインターゲットに

 このモールの最大の特徴は、屋上に樹木を植え子供向けの遊び場「ぐらんぐりんガーデン」を整備したことで、訪問した日曜の午前中は小さな子供連れの夫婦であふれていました。また、4階にもカーペットを敷いて靴を脱いで遊べる「スマイルスクエア」も設置され、天候に関係なく遊べる空間が用意されています。
 最上階の4階には、アカチャンホンポやキディランドなど子供用品やフードコートを置いて、「子供連れの若夫婦」をメインターゲットに、日常的な遊びの空間を提供し、ついでに買物や消費をしていただこうという狙いが見えます。これは、整備された地下駐車場823台、駐輪場2,004台という数字を見ても理解できるところです。
 また、フードコートで見かけたテーブルとイスは、小さな子供連れの人のために、普通のテーブルよりやや低くし、大人と子供が並んで座れるように大小のイスを並べて用意するなど、メインターゲットを意識した工夫が随所に見られます。
 プレス用資料では、「都会の中の家族のオアシス」を目指すとしていますが、狙い通りの結果が出ているように感じました。

明るく開放的なモール

 天井や通路には白を基調とした明るい色を使い、また4階までどのフロアも天井が高く、通路も広く取られ開放的な印象を受けました。
 今回のモールでは、新たな試みとして「衣料品のお店と飲食店を隣り合わせで配置」することも実験されています。1階にある若者向けセレクトショップの「BEAMS」と「ARBAN RESEARCH」の隣には「ベーカリーレストラン」と「ステーキレストラン」が置かれ、共通のターゲット顧客層を持つ両業種の相乗効果がでるのか、結果を見たいところです。
 1階のイトーヨーカドーが運営する食品スーパーは、明るい天井とダウンライトで商品が見やすく、野菜なども色鮮やかに見えるよう演出され、買物しやすい印象をうけました。テレビの情報番組でも紹介されていた「野菜の量り売り」コーナーも設置され、少人数家族にうれしいサービスも取り入れられています。
 年末に訪問した「イオンモール岡山」の食品フロアと比較すると、イオンは落ち着いたシックな色合いを使って高級感を演出していたのに比べ、ヨーカドーは明るく見やすいことを強調していて、明るいことで鮮度も伝わるように感じました。
 また、3階のヨーカドーの雑貨や家庭用品の売場では、食品と同じように明るくてサッパリとした印象を受け、高級感は感じないものの、分かり易い表示を徹底して行うことで、お客様を迷わせない工夫を感じました。
 4階のヨーカドー衣料品売り場も雑貨フロアと同じイメージを受けるシンプルな作りになっていて、見やすい陳列が行われるなど、それぞれのフロアが、これまでのGMSよりも少し洗練された印象を与える店づくりと陳列が行われています。
 先月訪問したイオン岡山店と今回のイトーヨーカドー武蔵小杉店を比較すると、それぞれ違った方向性を出しながら進化している印象を強く感じました。
 機会があれば、是非両方のモールを見学されてはいかがでしょうか。
(峠岡 伸行)

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壁面に植栽し、緑をイメージさせる

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屋上の公園では子供たちの遊ぶ声が響く

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屋内にも、大きなモニターとカーペットの広場が

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フードコートのイスも親子用

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天井が高く開放的な館内

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シンプルで見つけやすい表示

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衣料品フロアも明るく見やすい陳列に

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