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タイの進出企業を訪問(海外視察研修レポートその8)

2015-03-25

タイからの観光誘客と日本食の流通

1.タイの基礎データ
タイの基礎データ

2.タイへの在留邦人数及び訪日観光客数の動向
 タイへの在留邦人数及び訪日観光客数については増加傾向にあります。
 その中でも、タイ人の日本への観光客は急激に増加しており、タイ人訪日観光訪日国別統計でもタイは第6位(中・韓・台・香・米に次ぐ第6位です)。年間45万人、対2012年伸び率74.0%と驚異的な伸び率を示しています。
 また、訪日するタイ人観光客は多くのお金を日本国内で消費していく傾向があり、東南アジア諸国中で最も消費意欲が旺盛で、菓子やお土産を購入する傾向があります。
 タイからの訪日観光客の買物支出額は平均5万円と言われており、東アジアの国・地域と比べると韓国や台湾に比べ高く、中国に比べ低いと言われています。(出展:日本政府観光局JNTOより)
 
3.航空ネットワークの充実
 その象徴となるのが、日本、タイ間での航空ネットワークの充実です。在留邦人及び観光客輸送の増加に伴い、世界最大級のジェット旅客機(エアバス社A380機)が定期就航しています。
 タイ航空が運航する世界最大級のジェット旅客機旅客機は、関西国際空港及び成田国際空港で定期就航しており、輸送ニーズの高さが表れており、安定的にかつ多数の人口が日本、タイ国間で交流しているといえます。
 今後、タイを含むアジア諸国への交流人口の増加が見込まれており、タイのような航空ネットワークの整備が進むものと思われます。

4.北陸三県への来訪状況について
 日本への観光面での注目及び訪日ニーズの高まりの中、北陸三県への来訪状況についいての調査結果によると、下記のような結果であり、残念ながら福井県においては富山県、石川県の2県に大きく数値をあけられている状況でありました。
 【富山県】約15,000人、【石川県】約8,000人、【福井県】211人 ※ 2014年1月~12月
 尚、タイ人が好む日本のイメージ(人気のポイント)は次の通りだそうです。
 第1位 雪、第2位 温泉、第3位 海産物、第4位 鉄道(新幹線)、第5位 花
 上記のポイントを踏まえ、観光誘客のための戦略の立案とインバウンド効果を狙った事業の実施を検討していく必要があると思います。

アジア地域のタイ人訪問者数

5.タイにおける日本食品の流通事情
 現在、食に対する「安全・安心」への関心や健康志向が高まるなか、海外において日本食は世界無形文化遺産の登録とともに「高品質」「美味しい」「健康に良い」等の理由から人気が高くなっており、日本料理店や日本食を提供するレストラン等の外食産業や高級スーパー等の小売店舗でも日本食ブームと言われています。アジア諸国においても例外ではなく、香港、シンガポール、タイ、マレーシアなどの多くの国や地域で日本料理店や日本食や日本の食材が多く見られるようになりました。
 こうした背景のもと、タイにおいても海外向けの農水産物や加工食品の販売、日本料理店の出店などに関するお問い合わせが増えている状況であり、国内各地で行われている「アジア向け食品販路拡大セミナー・相談会」等には多くの関係者が参加する状況になっています。
 本視察において、アジア諸国の中で中国に次いで在留邦人数が多く、日本食が一過性のブームではなく広く大衆に根付きつつあると言われているタイにおける日本食品の流通事情について調査を行いました。
①小売り店舗において、日本食品(加工食品)は通常の3倍で販売されている
②日本食品は主に富裕層及び在留邦人が購入している
③日本食品コーナーもある程度面積があり、品添えも充実している(100g@2,000~3,000/日本円)
④納豆や揚げなどの品揃えがあり、日本のパッケージのまま表示を現地のシール対応で販売
⑤牛肉類も和牛の品揃えがあり、現地の肉の3倍程度で販売されている。
⑥農水産物である一次産品などは、現地の農水産物や他海外の農水産物が販売されている
⑦セブンイレブンでも日常的に弁当等が売られているが、近隣の屋台に比べ2倍の金額であった。

 結果、日本の食品に関しては、ある程度の品揃えがあり、すでに流通網が確立されている。ただし、購買層は現地富裕層(海外赴任者)及び在留邦人が購買層だと思われます。
 今後、食品市場への参入を検討する企業については、物流体制の確立、賞味期限、現地表示義務の対応、味などのバリエーションの対応などが課題となると思われます。
 
(加藤永俊)

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世界最大級の旅客機械
エアバス社A380機

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日本製の銘柄商品

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日本メーカーの納豆製品

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高級和牛コーナー

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セブンイレブンの多店舗化と屋台の2倍の弁当類

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