2017-03-10
今回のベトナム・ハノイの訪問の最後に、2015年10月にハノイ郊外に開店したイオンモール・ロンビエンを見学しました。
モール全体のことは、上村さんが紹介していますので、ここでは買物の風景を紹介したいと思います。
イオンモールの日本人マネージャーは、「日本に観光に来ている気分で来店していて、普段は並ばないベトナム人が、イオンではちゃんと順番待ちに並んでくれている。これも日本の文化を理解している表れではないか」と話していました。
実際に食品売場に行くと、夕食時ということもありイートイン・コーナーで食べるためのお弁当やファーストフードのお店に行列する姿が見られました。
一人当たりGDPが約2,000ドル(24万円)の水準にあるベトナムでは、まだまだ日本製品や衣料品に多くのお金を出せる状況ではなく、「レストランでの飲食や食品などで売上を上げながら、マーケットの変化を見極め、長期的な視点でモール運営を考えている」というお話でしたし、テナントの皆さんもある程度長期的に市場の成長を待ちながらの先行投資と考えているようです。
売上の中心がレストランと聞いたので、まず3階にあるフードコートを覗いてみました。
ベトナムの屋台を模したコーナーが並び地元料理のフォーやベトナム人に人気の鍋料理の材料がセットで販売され、若者のグループや家族連れが集まり、訪問したのが午後5時頃ということで、これから夕飯という時間帯だったこともあり、大賑わいでした。
フードコートの横には、各国料理の専門店もお店を構え、日本のラーメン店、韓国料理店、タイ料理店、寿司を中心にした日本料理店、食材が回転寿司のように回っている鍋店、ピザ、フライドチキン、ハンバーガー店などアジアンフードを中心にファーストフード店が多く見られます。
確かに街なかでも、ピザ店やハンバーガー店、カフェが多く見られパン屋も多くあることから、やはりフランス統治の食文化の名残があるようです。
ちなみに、北海道ラーメンと豚丼を提供する「大山ラーメン」(ハノイ市内でも店舗を構えています)では、1杯800円と地元の方にはちょっと高い印象です。
次に、1階のイオンのスーパーマーケットを見学しましたが、惣菜コーナーで軽食を買ってイートイン・コーナーで食べている方が多く見受けられました。
お弁当や惣菜コーナーも、鶏のから揚げなどのフライ物や串に刺さった天ぷら、フランクフルトやフライドポテトなどの軽食がショーケースに並び、さながら屋台のようで人だかりが出来ていました。
お隣にはおにぎりやお寿司などの日本食が並べて売られ、ベトナムでも少しずつ受け入れられてきているようです。
一方、イオンのスーパーの中では、日本の醤油を使った試食販売、レジ横の通路ではヨーグルト飲料やエビアン水、チョコレートの試食コーナーが設けられていて、これまでベトナム人の食生活の中になかった新たな商品の提案が行われています。
ジェトロを訪問した際の説明では、ベトナムではまだまだスーパーマーケットでの買物が一般的ではなく、市場や露店などでその日に必要な食料を買うのがほとんどだとのことでした。
さて、ここでスーパー内の商品の価格をちょっと紹介してみます。
このイオンモールには、映画館(入場料約500円)、ボーリング場、フィットネスジム、ゲームセンターや子供向けレジャーランドもあって、家族や若者同士で週末や夜を楽しむ場所となっているようですし、日本人駐在員にとっても日本食が身近に買える場所として非常に喜ばれているようです。
まさに、最初に日本人マネージャーが説明された通り「日本に観光に来ている気分が味わえる」のがイオンモールで、ベトナムの皆さんにとっては「家族で週末は日本旅行」を楽しむことが習慣化され、その中で徐々に日本食や日本の商品に関心が出てきて、将来、家族収入が増えていき実際の購買につながればといったやはり長期的な経済成長をにらんだ出店ということが実感できた訪問でした。
以前、カンボジアやホーチミンでも感じたことですが、イオンモールで時間を消費することやスーパーマーケットで買物をすることを「文化」として浸透させようとするイオンの戦略を改めて感じました。
(峠岡伸行)
お弁当コーナーのレジ待ちの行列
ファストファッションも多いが客はわずか
フードコートにも屋台風のお店が並ぶ
日本料理店は
商品サンプルが店頭に並ぶ
混雑するイートイン・コーナー
フライ物が並ぶショーケース
おにぎりやお寿司の
テイクアウトコーナー
スーパー横に設けられた試食コーナー
鮮魚売場は水族館のよう
ファミリー向けの寿司パックが並ぶ