不思議な魅力を感じる蔵の街・栃木市
福井県中小企業診断士協会では、平成30年10月6日(土)、7日(日)の両日、栃木・群馬視察研修(富岡製糸場、栃木市、日光東照宮、大谷資料館)を行った。
その中で、「小江戸 蔵の街」である栃木市を散策した感想を報告する。
「栃木市は、かつて県庁所在地であった」
「県名と同じ市名でありながら県庁所在地でない市は、栃木市の他にあるのかなあ?」と思って調べてみたら、山梨市と沖縄市があった。
しかし、過去に県庁所在地であったのは栃木市だけのようだ。
(栃木市には明治16年まで栃木県の県庁があった。
現在でも市内には県庁堀があり、その名残を残している。)
なんでも、旧栃木県(県庁所在地:栃木市)と旧宇都宮県(県庁所在地:宇都宮市)が一緒になるとき、県名と県庁所在地の綱引きで現在の形に落ち着いたとか。
あと、驚いたのは、最初に市役所を見たとき、「えっ、これが市役所!」と思うほどその外観が全然市役所らしくなかったこと。
実は、栃木市役所は、既存百貨店施設を利活用した全国的にも珍しい、百貨店融合の市役所庁舎だったのだ(平成26年2月に本庁舎移転。2階から5階が庁舎、1階は東武宇都宮百貨店)。
「栃木市は、小江戸・蔵の街といわている」
栃木市は日光例幣使(東照宮に幣帛を奉納するために東照宮に参向する朝廷の勅使)街道の宿場町として発展した。
また、市内の中心部を流れる巴波(うずま)川の舟運によって江戸との交易を結び商業が大いに発展した
。このため、回漕問屋の蔵が巴波川の岸辺に立ち並び江戸の風情を残している。
これらのことから、栃木市は「小江戸」「蔵の街」と言われている。
早速、街歩きを始めると、歴史を感じさせる建物や販売している商品もレトロ感いっぱい(「荒物店」て、まだあったんだ)。
それも、何軒もあって、大通りでも裏通りでもちゃんと営業している。
(「商売が成り立つほどのお客さんはどこにいるんだろう」との突込みが…)
新しい建物も、小江戸の風情を守っているようだ。
コンビニも銀行も看板や建物の色は茶色で統一されている。
普段目にしているものとの違和感があり、異空間にいる感じ。
街中では、あちこちで、街の活性化に向けた各種のぼりが見られた。
「本物の出会い 栃木パスポート おもてなし施設」、「お蔵のお人形さん巡り 参加店」、「栃木市プレミアム表品券 とち介商品券取扱店」等々。
(当日「ドイツビール祭り」が催されていたけど、行けなかったのは残念。)
巴波川沿いには「蔵の街遊歩道」があるが、そこからは江戸との交易で財を成した豪商の蔵が立ち並んでいるのが一望できる。
いくつかの蔵は記念館になっており入場でき、遊覧船も出ている。
今回は雰囲気だけを味わうだけで終わったが、時間があればじっくり江戸風情を感じたいと思った。
「栃木秋まつりの山車を見る」
栃木市の「とちぎ秋まつり」は、江戸・明治時代に作られた絢爛たる山車が市内を練り歩き、まつりは豪快に盛り上がる。
この祭りについては、「栃木・山車会館」の1階にあるジャンボスクリーンを見ることにより、準備段階から祭り当日の盛り上がりまで、具体的に体感することができる(上映15分)。
また会館には山車の実物が2台展示されており、その迫力と絢爛さに圧倒される。
この大きな山車は回り舞台を使って館内に出し入れをするのだが、その仕組みも丁寧に説明してもらえる。
山車が市内を練り歩くとき、電線や看板が邪魔になる。
そのため、各地のまつりでは山車を上下させ高さを変える仕掛けを組み込んであるものが多い。
でも、とちぎ秋まつりの山車にはそんな仕掛けは見当たらなかった。なぜか。
外に出てみてわかった。
蔵の街大通りには電柱・電線がなかったのだ(埋設してあるのだな)。
山車ではなく周りを変える逆転の発想をしたということか。